4月 16 2015
リリスクのことがよくわかるlyrical school「ゆめであいたいね」MV小ネタ徹底解説
みんなー!元ネタ解説は好きかー!?俺は好きだー!読むのも書くのも好きだー!!
というわけで、ベビメタ以外でやるのは初めてな元ネタ探しの旅。今回のお題は、lyrical school「ゆめであいたいね」のミュージックビデオ。最新アルバム「SPOT」のリード曲です。
曲の話を先にしとくと、リリスクに長らく楽曲提供をしてきているtofubeatsのプロデュース作品。徹底的にかわいらしさを追求した歌詞とアレンジの中で、ラップ部分での4つ打ちがバース(サビ)で突如シャッフルビートに変わり変貌する、というなかなかトリッキーな編成になっている。さらには自動車の閉まる音、黒電話や逆再生の音など、ドリーミーな雰囲気を出す効果音が大量に盛り込まれている一方で、ライブなんかでは重低音のビートが強調されることドープで踊れる曲にも変貌するたくさんの顔を持つ楽曲。そして、なによりもこういったゆったり目のテンポのラップも、実に情感を込められるようになってるところにメンバーの成長が感じられるところである。lyrical schoolの一番良い部分が遺憾なく発揮されている、と言って良いだろう。
というわけでここからは殆ど音楽の話はありません。
んで、MVはアイドルファンなら知っている人も多いであろう漫画家のナカG先生によるイラストをアニメーションにした物。ナカG先生のアイドルマンガ「推しメン最強伝説」はT-Palette Recordsともコラボしてて、Webから閲覧可能です。そしてこのMVにはリリスクファンなら気づくいろいろな小ネタ・グッズが織り込まれているのです。というわけでそれを解説する、というのがこの記事の目的。ホントは僕よりももっと色々ご存じな方が…と思うんだけど、誰もやらないならやるの心意気。不足分はご遠慮なく指摘してください~。それから多数の方のTwitterでのツイートなり参考にしてますので、この場で改めて御礼申し上げる次第です。
因みにかなり小ネタ寄りなので、全般的な説明を見たい方はLoGIRLの「5日間でわかるlyrical school」や、昨年ダンスニュースメディアサイトDewsに載った紹介記事なんかをご覧ください。
では早速解説。
1番
基本構成は川辺の土手を歩くayakaを、各メンバーがラップをする箇所でそれぞれ追い越していく、というもの。このとき追い越すのに使われている物は基本的にメンバーの個性を反映した物だったり過去の作品からの引用。
- minan:自転車(群馬県出身のminanさん、チャリ通だったようです)
- yumi:スケボー(アルバム「CITY」のジャケット写真で全員が所持)
- mei:全力ダッシュ(昨年TV朝日系の「全力坂」に出演した際にきれいかつ速い走り方でアスリートっぷりを見せつけた。視聴はこちらから→ その1 その2)
- ami:4WDの車(シングル「FRESH!!!」と「MYかわいい日常たち」のMVで使われた物)
- hina:セグウェイ(出典不明。因みにそのときに空をUFOが飛んでいるが、tengal6時代の未音源化楽曲「UFO」から取ってる模様)
※先日ナカG先生ご本人とお話しする機会があり、そのときにセグウェイについて教えて頂きました。「それといったエピソードが無かったのでリリスクプロデューサーのキム氏に相談したところ、セグウェイ似合いそうだから入れてみようと提案された」とのこと。確かにそれは出典わからないww(9/18追記)
因みにminanが自転車で通り過ぎるときにayakaが靴紐を結んでいるのは「PRIDE」の2番歌詞にある「緩んだシューレース ギュッと結んで 自分で決める終点地点」から。
そして間奏ではずっと電話の音が鳴るんだけど(ライブビデオ見るとわかるけど振り付けも電話を受ける仕草になっている)、僕これずっと目覚まし時計だと思ってた。どうやらナカG先生もそう思っていたようで、結果ここは後の歌詞との整合性を考え黒時計型の目覚まし時計を使うことになったよう。そして、この電話型目覚まし時計にはリリスク及び前身のtengal6のロゴステッカーが貼られている。
因みにこれ、実在する商品だそうな。ただしネット通販はどこもかしこも売り切れ。残念!
2番
2番ではそれぞれのラップパートの時に彼女達の日常描写が差し込まれる。順々に画像を見ながら解説。
ami
amiといえばくせっ毛(天然パーマ)。ということで髪の毛のセットに苦労する様子が描写されている。また、この後出てくるメンバーも全部そうなんだけど、着ている服は全部グッズとして販売された物。因みに、tofubeatsはリリスクに曲を書く際に歌割りも全部自分で決めるとのこと(その時に6色にした歌詞カードを送っているとのことで、現在のリリスクのCDブックレット記載の歌詞が歌唱メンバー毎に色分けされているのはここに由来している)。このamiパートはこの曲において両者が築いてきた密接な関係性が最も強くうかがえるところでもある。
ayaka
ayakaといえば「大部さん」と敬称で呼ばれる業界内でも有名なアイドルオタク……だけどそれは置いておいて(笑)、朝ご飯を食べながら飼い猫の「ちゃぶ(メス・2歳)」と戯れる様子が描写されている。因みにamiはネコを6匹飼っており、yumiは犬やハムスターを飼っているなど、リリスクメンバーのペット飼っている率は結構高い。
hina
hinaについては自己紹介ソング「tengal6」のhinaパート「リズムで弾けるポップコーンガール」に因んでポップコーングッズが二つ。「P・C・G」と印刷された帽子は昨年の「brand new day」リリースパーティーが彼女の誕生日に近かったために行われた生誕企画でヘッズ(リリスクファンの総称)にプロデュースで製作された非公式グッズ。そして彼女のそばにあるポップコーンは、今年の2月にイオンモールつくばの映画館で行われたライブDVD発売記念上映会で特別販売されたリリカルポップコーンのカップ(このイオンモールつくばのバンダレコード店長による尽力のたまもの。そしてバンダレコードの大宮ステラタウン店でのインストアイベントは相当テンポもグループも双方力の入った物になるということは付記しておきたい)。そしてどら焼きクッションと読んでいるマンガ「ヒナえもん」は、本人がドラえもん好きであることにちなんでのこと。また、meiパートでも出てくるラジカセだが、tengal6時代にアイドル専門放送局Pigooで放送されてた「tengal6のキック!!スネア!!キック!!スネア!!」の「番組ジングルを作ろう」コーナーにて使用された物。それからリリカルポップコーンの近くに転がっているロボットは、本人自作の「ロボ君」。
https://twitter.com/hina0605piyo/status/320466500567834624
minan
現在Ustream放送チャンネル2.5Dの月一番組「チェケラっ超TV」の「ラップキッチン」コーナーに出演しているminan(同番組にはmeiも出演中)。その天性の飲み込みの速さとリズム感の良さで課題をこなしており、6月にはソロパフォーマンスもする予定となっている。なのでそのMPCをいじるシーンが中心なのだけど、いくつか小道具が。うしろの棚にかけてあるサッカーユニフォームは去年BEAMSとのコラボ商品として作られた物(限定販売もされた)。そして「本多未南」フラッグは昨年のminan生誕ライブ(@高崎市)で使われた物。ロゴを見ればわかるとおり、彼女は椎名林檎・東京事変の大ファン。というわけで同じロゴで生誕Tシャツも制作された。
mei
夜中(だと思う)に書き物をしているけど、何を書いているのかというと「photograph」をライブでやるときに彼女が披露しているフリースタイルラップだろう。因みにmeiはライブ毎にTwitterで自筆のセットリストと「photograph」フリースタイルラップをアップしてくれるが、とても読みやすい文字を書く。そして机の上に置いてあるぬいぐるみは彼女のお気に入りアニメ「ぼのぼの」よりぼのぼのとシマリス君)。また、机の上にバドミントン雑誌が置いてあるが、彼女は高校時代バドミントン部で部長を務めていた。因みに他にayaka、ami、minanも高校時代バドミントン部であった(ayakaはウェアをかわいく着こなすことにばかり力入れて腕前はからっきしだったと「IDOL AND READ 003」のインタビューで話しているw)。それから本棚に立てかけているスノーボードは今年のスキーツアーに持参していった自前の物。
yumi
yumiといえば寿司。その寿司愛は彼女のInstagramを見てもらえればわかるだろう。寿司画像オンリーの寿司stagram。因みに好きな寿司ネタはビジュアルなら赤身(というか寿司のビジュアルにアートを感じている)、ということをねむきゅんとの寿司談義で話している。そして美大の卒業制作でも寿司をテーマにしていた彼女が着ている服も、これまた彼女自身のデザインによる「寿司BORDER Tシャツ」。
そして2度目のhook(サビ)では、場面が夕方から夜に切り替わり、メンバーが空にどんどん浮かび上がっていく。これは昨年11月のリキッドルームでのライブにて「FRESH!!!」を披露したときのVJアニメーションと同じ物。言ったファンにとっては感激モノ。
そしてayakaが待っているメンバー5人の元に走って行くと空には流れ星が6つ、というところで「おやすみなさい」の歌声と共に最後のシーンへ。
部屋に転がっているのは主に「FRESH!!!」のMVで使われた小道具。スライ&ザ・ファミリー・ストーンの「FRESH」のLPも置いてある。アナログレコードプレイヤーは「そりゃ夏だ!」のジャケット写真にある物。そして、部屋の後方に立ててあるスピーカーは「PRIDE」の初回限定盤のジャケット写真で使われている物。
それから部屋に貼ってある6人のポスターはアルバム「SPOT」発売時にタワーレコードで販促用に作られた「NO MUSIC, NO IDOL」ポスター。
というわけで、「ゆめであいたいね」MV解説を兼ねたリリスクのメンバー紹介でした。因みに説明忘れてましたが、最新アルバム「SPOT」の収録曲なので、曲が単純に気に入ったという方も是非!しかし小ネタだけでなく楽曲の雰囲気ともマッチした本当にいいMVだよなあ。これアルバムのリリースと同時位に出てれb(省略されました。続きを読むにはプレミアム会員登録をお願い致します)
8月 4 2015
イマドキの夏ソング!?~Shiggy Jr.と lyrical schoolの新曲とワンマンライブの話
夏は夏ソングの季節として(主に僕に)有名だけど、今年の夏はこれだっ!て感じになるのがShiggy Jr.の「サマータイムラブ」だ。「Shiggy Jr. is not a child.」で耳の早いリスナーの注目を集め、「LISTEN TO THE MUSIC」のリリースから一気に駆け上り、メジャーレーベルの争奪戦を経てついに今年メジャーデビューしたShiggy Jr.。その新作ということで嫌が応にも期待が高まっていたが、軽々とその期待を超えてきた。
そして同じくらい聴いているのがlyrical schoolの「ワンダーグラウンド」。3度目の登場となり、tofubeats同様リリスクとの相性が良いLITTLEによるリリックに加え、ももクロの「5 The Power」作曲・編曲のSUIを迎えて作られたディスコ・ヒップホップとでも言うべき、とても面白い作品。
この2曲、世界観に共通してる部分があり、そこにすごく今っぽいなあと思うところがあるためその辺を掘り下げてみたいなあということで、今日はこのブログではほとんどやったことの無い「歌詞」の話。それから7月に双方のワンマンライブに行っているのでその話も併せてしてみたい。
●永遠ではないとわかっている夜の話
両方の曲を聴いて感じたのは、「思い浮かぶ風景が夜」だということ。
上記のように厳密には「サマータイムラブ」の方が「ワンダーグラウンド」よりも早い時間の夜(というか夕方)ではあるが、どちらも1日が終わりに近づいている局面の心情を描写した歌だ。「サマータイムラブ」の曲名は欧米で行われている制度としてのサマータイム(国全体として1時間時計をずらす)ところに由来しており、もしそうであれば1時間長く一緒にいられるのに…という恋心を歌った曲だ。夏→太陽→開放的みたいなのが一般に連想される夏ソングのテンプレだが、そういう図式とは真逆だ(リリスクのこれまでの夏ソングはそんな感じだったけど)。
しかし、ただ夏の夜をテーマにしただけの曲であれば別にあるんじゃない?というところでもある。そこで出てくるのがこの2曲に共通する「永遠ではないという諦観」だ。
「サマータイムラブ」では「二人の時間」が続くことを繰り返し繰り返し「神様」にお願いをしているが、裏返してみればそれはそのお願いがかなわないことをわかっているということでもある。そして、「ワンダーグラウンド」では、「今時間が止まってて見つめ合っていたんだよなんで 嘘でもホントにしてほしい」「ねえここで君と笑ってたいなんて(ダメかな)」と、今の時間がずっと続くものではないということを自覚しているリリックがそこかしこに見られる。極めつけは「私たちはティンカーベルじゃないってとっくに知っちゃってる」という歌詞で、先に言及した「魔法」なんか本当は無いんだと言い切っているかのようだ。
ぶっちゃけ、夏なのに暗い(笑)。まあ今の夏って一昔前より暑いから、心情を描こうとしたら必然的に夜になるかもしれないけどさwただ、それゆえに妙なリアルさがあるのもまた事実。そこにとても心惹かれる部分がある。
●ジャンプアップのワンマンライブ
7月にはこの両者のワンマンライブがあった。1日にShiggy Jr.の初めてのワンマンライブが渋谷CLUB QUATTROで、25日にlyrical schoolの初全国ツアーのツアーファイナルがZepp DiverCityで行われた。両方のライブに行って感じたことを書いておきたい。
Shiggy Jr.のワンマンライブはメジャーデビューしたてでなおかつワンマンライブ自体初めて、ということもあってものすごく熱気に溢れた物だった。1stアルバム「Shiggy Jr. is not a child」から久しぶりに披露された「(awa)」なんかは後半で楽器隊による激しいジャムセッションが繰り広げられたり、初期に発表されていたアルバム未収録曲「おさんぽ」を森さんがウッドベースを弾く等のアコースティック形態でやったりと、楽器隊も含めたトータルのバンドの良さを遺憾なく披露していた、現時点のShiggy Jr.の120%のステージ。
これから更に飛躍して行くであろうことが、会場の誰にも予感できたことであろう。次のライブは11月26日、赤坂BLITZ。一気に倍近いキャパシティのライブに挑戦するわけだけど、この夏の各種フェス・イベントを通じて更に多くの人に彼等の音楽は届くだろうという自信の現れだろう。ここまでド直球なポップスが今の夏フェスでどう響くか、とても楽しみである。
さて、7月25日にはZepp DiverCityにてlyrical schoolの全国ツアーファイナル公演があった。5年間の活動で初めての全国ツアー、そして昨年の年末に行われたLIQUIDROOM公演以来の東京でのワンマンライブ。その昨年のLIQUIDROOMはとにかく曲をガンガンやりまくっていくという物であったが、このZepp公演はまた違うアプローチを取っていた。まず最初にイントロムービーが流れ、そこからつながる形でライブがスタート。曲間にMCが入ったりもしたが、転換にはムービーを活用(これで衣装替えタイムも確保)し、どちらかというと演出主導のライブ、という印象だった。また、ステージ後方部分を高く取り、階段・段差を活用するステージングも見せる(写真はナタリーとかで見てちょ)など、彼女達が6人グループであることを活かした構成にもなっていた(「ひとりぼっちのラビリンス」などはそれがフルに発揮されていた)。リキッドルームの時は「曲!曲!曲!」という畳み掛けるようなライブだったのが、文字通り「奥行きのある」ライブになっていた、というのが率直な感想で、これが全国ツアーでの成果なんだな、と感じた。実際リキッドルームどころか4月のVISIONでのリリースパーティーよりも表現力は増していた。アルバム「SPOT」の収録曲から振り付けがかなり複雑になり、「ラップが置いてきぼりにならないか?」みたいなことを感じてはいたのだが、彼女達は想像以上のスピードで上手くなっているなあと驚かされるくらいの立体感あるパフォーマンスだった。
その上で、「ワンダーグラウンド」がライブの中核に据えられていたわけだが、本編ラストに披露されたその曲までの橋渡し役としてとても重要な役割を担ったのが「Sing, Sing」だろう。「ワンダーグラウンド」とも通じる「永遠なんて ありえないこと わかってるけど 今日も願うよ」という歌詞は、この日のために用意されていたかのようだった。
今回のライブには個人的にはかなりフラットな気持ちで臨んでいたというのもあるが、爆発する熱量!大盛り上がり!というよりは素直に良かったと言えるという方が適切なんじゃないかという気がしている。ライブの最後には11月にオールナイトイベントをやることだけが発表され、新曲や次のワンマンが発表されることもなかった。まるでこのライブも一つの通過点であるというかのように。
Zepp DiverCityの1Fフロア後方は閉鎖され、集客の観点からすると正直全く良くなかったといえる本公演だが、リリスクがZepp DiverCityを選択したのは「大きいライブハウス」というよりも「大きいステージの上で」やることが彼女達にとって必要なことだったから、ではないだろうか。アイドルシーンはこの1・2年で成熟期を迎えた、という感触もあり、もはや「曲やパフォーマンスが良い」は差別化要因にはならない。それ故にそれぞれが「+α」をつけていく必要があり、リリスクにとっての「+α」は今回のライブでの「演出やパフォーマンスの見せ方」だということだろう。であればそれを突き詰め、照明とかももっと使い倒して追究して作り込んで欲しいと思った。既に30分くらいのステージでの彼女達はスペシャルな存在なのだから(もちろんファンが増えないと恒常的にこういう素晴らしい公演が出来ないので、集客それ自体は一つの課題としてあるのだけど)。
とても楽しい時間を2つのライブで過ごせたわけだけど、楽しさと共にそれと隣り合わせな儚さのような物も内包していることから、2組の楽曲が自分の「日常」に寄り添う物になっているなあということを実感した。これから1ヶ月、僕はまだまだこの2曲を沢山聴くだろうなあと改めて思うのだ。
By たにみやん • Music • • Tags: lyrical school, Shiggy Jr.