12月 11 2013
2013年マイベストソングトップ10
早いものでもう12月も半ばですね。今年もたくさんいろんな音楽を聴いたなあということで、毎年恒例の年間ベストを発表したいと思います。例年はアルバムだけやってたんだけど、今年は楽曲ベスト10にも手を出してみたいと思ったのでまずそちらから先にやってみようかな、と。
かなり絞るの苦労しました。アルバムはもっと苦労したけど。まあ独断と偏見というか感性に基づいているのでその辺ご容赦ください。「今年を象徴する」とか平然と使うと思ったので先に断っておくよ。笑。それから各ミュージシャンから一つずつとしました。では早速行ってみましょう!
10位:星野源「化物」
今年は大半を入院・療養に充てた星野源。その2度の療養の間に作られたアルバムのリードソングがこの「化物」。彼の曲にしてはかなりテンポの速い曲(BPM115を倍テン)なんだけど、そのテンポの速さが彼の「生への執着」を強調しているかのようで、率直に凄みを感じた。このアルバムを買う前の日に渋谷駅に貼ってあった彼の写ってるタワレコのポスターで「音楽はね、死ぬと聴けなくなるんですよ。今のうちだぜ」って書いてあるのを見てその切実さとリアリティになんかグッとくるものがあった。
この曲と次の「ワークソング」は本当にいい曲だったね。ぶっちゃけて言うと既発シングルが霞むくらいに。というかそういう意味ではアルバムトータルとしてはしりすぼみ感あったような。悪くはないんだけど。
9位:jizue「rosso」
京都のインストゥルメンタルバンド、jizueの3rdアルバム「journal」のリードトラック(イントロ後だから実質的な1曲目かな)。ピアノを主軸にしつつも全ての楽器が代わる代わる主役に躍り出てくるところが凄く面白くて、なおかつシリアスながらもテンションがすごく高い、見どころだらけの踊れる曲。インストはインストでも残響系とかよりtoeとか好きな人の方にむしろ薦めたいね(去年も言った)。この曲と先行シングルの「dance」の2曲のインパクトがとにかく強かったのがjizueの今回のアルバム。前半部分は超聴いた。
8位:tofubeats「Don’t Stop The Music feat.森高千里」
今年はtofubeats関連楽曲とにかく沢山聴いたけど、その中でもこの歌の仮歌がSoundCloudに上がったときの衝撃はかなりのものだった。
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水星の時もこうやって制作プロセスを可視化していったんだってね。それがまた凄く今っぽい。個人的には仮歌バージョンもすごく好きというか、森高さんバージョンは森高さんが歌っているということ自体のインパクトが強すぎるのでまあ合わせ技でこの位置かなあとか思ったり。しかしまあティザーMVの「ちょっと出し感」とか合わせて、凄くリリースまでの展開が上手かったなあ、と。これまでのtofubeats的な手法とメジャーレーベル的な手法が見事にマッチして凄く食いつかせる物になってた。個人的には「lost decade」的な音楽性の集大成になるのかなという印象を受けた。これぞタイムレスな音楽がシーンに浸透した2013年を象徴する歌って感じだね(はい象徴1丁入りました〜)。
7位:サカナクション「ミュージック」
以前のサカナクションは「シングル曲ではキャッチーな曲を出してアルバムで彼等の曲世界を提示する」というパターンだったけど、最近は彼らが売れてきたこともあってシングルでの撒き餌が必要なくなってきたし、彼ら自身の表現力が更に伸びてて撒き餌的なキャッチーさと彼ら本来の音楽性を統合させることができるようになってきているように思える。それが端的に表れているのがこの曲。めちゃめちゃサカナクションらしい曲だしその中でキャッチーさ、踊れる感じなどの諸要素が高得点。ここ最近の彼等はシングル曲の出来がとても良い。
きっと数年前のサカナクションだったら「Aoi」の方がシングル化されてたよね。
6位:ザ・なつやすみバンド「サマーゾンビー」
この曲は以前亀田音楽専門学校のケーススタディで使ったね。ザ・なつやすみバンドについては去年出たアルバムも買っていたんだけど、その時はまあわりといいかなくらいだったのが今回一気に突き抜けた感ある。夏の夕方に聴きたい。因みにカップリングの「echo」もめちゃめちゃ良い。こちらはこちらで没入感がすごい。
因みに久しぶりに8cmCDを買ったよ(因みに電話で取り置きしてもらうときに赤か青か選んでくれと言われた)。
5位:花澤香菜「青い鳥」
花澤さんはこれに限らずあがっているMVが少ないのでiTunes試聴で勘弁くださいな。
多分声優さんのアルバムを買うのは初めてだったと思うんだけど、1曲目に入ってたこれは完全にクリティカルヒットだった。この曲は重ねられている音の系統やBPMなどがYUKIの「長い夢」に結構似ていて(もちろん花澤さんのボーカルに合わせたものになっているけど)、そこもたまらなくツボでした。冬頃は本当こればっかり聴いていたなあ。
4位:BABYMETAL「イジメ、ダメ、ゼッタイ」
既にアイドル楽曲大賞で投票済なのでそこに書いてるんだけど改めて。元メタラーでクロスオーバー的な音楽が大好きな者としては最高に大好物な楽曲でした。メロスピ・パワーメタル系のトラックにアイドル要素を乗っけてかつ両方ともレベルが高く、しかもメインボーカルのSU-METALの歌唱力がしっかりしているという、いろいろな要素がいいレベルでがっちり噛み合っている一品。ついにファンクラブのようなものもでき(当然入りました)、いよいよ海外展開も見据えているようで、ようやく楽曲リリース含め(なにせ今年は完全新曲が2曲しかリリースされなかった)活動が本格化されていくのかな、と期待される所。
3位:AKB48「恋するフォーチュンクッキー」
既に書いた話だけどAKB48の曲は今まで全くピンとこなかったと言っていた僕があっさりお買い上げしたという点で個人的には画期的な曲。この曲の魅力については既にアイドル楽曲大賞の話をした時に書いたけど、70年代のソウルミュージックを基調としたタイムレスなサウンド、シンコペーションを多用して弾むような調子を演出したメロディ、指原莉乃がセンターで歌うことを存分に活かしきった歌詞(特に2番)、最後にモーニング娘。の「LOVEマシーン」同様Shocking Blueの「Venus」のリフを引用していること(おっさんホイホイな仕掛けではあるけどw)など、これまたたくさんの要素が噛み合ってできている曲。あとこの曲はあちこちでいろいろな人が踊る動画がアップされたけど、ミドルテンポなので老若男女踊りやすい・ノリやすいっていうのもあるんじゃないかな。そういう意味でもこの曲は本当に2013年を代表する国民的ダンスチューンではないかな。
2位:ハナレグミ「オリビアを聴きながら with 東京スカパラダイスオーケストラ」
カバー曲を入れるかどうかは迷ったんだけど、これはとにかく初夏の時期すごくよく聴いたし上の映像のライブで聴いたときに「最高!」以外の感想が出てこなかったからやっぱり入れときたいし、意志を持ってこの曲をこの位置にランクインさせておきたい。
音楽が売れない時代とか言われる中、新しい曲を探索する層っていうのは確実に減ってて、今年も「既存曲の焼き直し」であるカバー曲・カバーアルバムというものがそういう層へ訴えかけるお手軽な音楽として機能した気がする。そんな中どう考えても「お前、その音楽聴いて育ってきてないしむしろリアルタイムの時代こういうのバカにしてたんじゃないか?」みたいなのを商業的要請でそれらしくこなす敬意もへったくれも感じられないようなカバーなど、目を覆いたくなるようなものが多かった。この曲はそんな凡百の「駄カバー」に引導を渡す出来だったんじゃ無いかと思う次第。これに比肩するクオリティを出せないのであればカバーなんかするんじゃないよ!!と申し上げたい。ホント。でもそれくらいこのカバーは素晴らしいと思うの。
1位:パスピエ「ON THE AIR」
1位はパスピエ。まあ実際この曲今年一番たくさん聴いたしね。TOKYO FMの春キャンペーンのタイアップソングなんだけど、ラジオというキーワードに合わせつつも彼等の個性をきっちり出してる曲。なおかつ最初は少し抑えめの展開にしながらさびで一気にポップさがはじけるようにする展開がまさに雪が溶けて春になるような季節感が味わえる、まさにJ-POPな楽曲。なんでパスピエがこの曲をライブであまりやらないのか疑問を呈したいくらいに完成度が極めて高い曲だと思う。
それにしても今年はホントにパスピエ沢山聴いた。この曲をもっと聴きたかったなあという気持ちもあるけど、去年の「最終電車」といいこういう純ポップな曲こそ彼らの持ち味がすごく出る分野だと思うので、ぜひどんどんやってほしいね。
さて、いくつか次点があるのでそれも紹介。
- クリープハイプ「ラブホテル」
- SMAP「Joy!」
- dancinthruthenights feat.新井ひとみ「マジ勉NOW!」
最後の「マジ勉NOW!」なんかはSoundCloudにアップされてるフリー音源だからね。来年1月15日にCDリリースされるので来年の物扱いしようかは少し迷ったんだけど。こういう風にネットにしかない音源をかなり積極的に聴くようになったのは今年大きい気がする(この辺はアルバムにも出てくるよ)。ただやっぱりアプリ切り替えたりとかめんどくさいなあとか思うとやっぱりDLでも良いから一つのアプリの中に入れて統一して聴きたいなあと思ってしまうので思ったより聴かなかったなあというのが感想。
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全体的な感想としては「ポップス」としての良さ、編曲の良さ、メロディの良さなんかを重要視してる節があるなあと。あとはギターロックが殆ど選ばれてないのが特徴的なところかな。次点のクリープハイプくらいか。随分前から聴いているともうさすがにアイディア出尽くしてる感あるというか、余りイノベーティブな物が出てきていないように思うんだよね。新規性があればいいのかっていうのはまた別の問題としてあるけど、とりあえずこれ以上聴かなくてもいいんじゃないかと思ってしまっているのが現状。そんな中クリープハイプは結構よかった。この前さやわかさん主催の座談会で聞いた話なんだけど彼らのルーツには洋楽がないんだってね。KANA-BOONなんかもそうだけどそういうバンドが支持される時代になったというのはリスナーの変化なのか、ルーツとしての邦楽ロックの土壌の進化なのか。どっちなんでしょうね。前者っぽいけど。
そんなわけで次はアルバムです。これは本気で悩んだ結果たくさんいい作品あるなという結論に落ち着いたのでベスト20まで発表します。長くなるけどおつきあいください〜。
12月 18 2013
2013年マイベストディスクトップ20 10位〜6位
さて、年末恒例のマイベストディスク企画、前回の20位〜11位に引き続き、10位から6位を発表。ここからは分量を小分けにしてじっくり話をしたい…!!試聴もたっぷり貼りたい!
因みに今年のこれまでの結果はこちらよりどうぞ。
マイベストソングトップ10
マイベストディスク20位〜11位
10位:パスピエ「演出家出演」
上半期とにかく聴きまくってライブも行きまくり、このブログでも継続的に推していたパスピエのアルバムだけど最終的にはこの位置に。まあこのアルバムもいいんだけど、まあトータルで見るとこんなところかな、と。実際のところ現状確認としては良いアルバムだと思う。先行シングルになった「フィーバー」とリード曲「S.S.」が確かにフィーチャーされる回数は多いんだけど、ラス前の「ワールズエンド」で楽器隊が遺憾無く発揮する見せる演奏スキルとアルバムの締めを飾る成田ハネダ氏によるまるで交響曲のような「カーニバル」の構成は正直に言って彼等の底の無さを感じた。
そういえばレジーさんが「最近のパスピエはマーケットインの姿勢が過剰」って言っていたけど、そこは深くうなずくところではあります。「とおりゃんせ」のロックファン狙いの姿勢はお見事だと思うけど前作や前々作大好きな人間からすると複雑なところでもある。アルバム発売直後に購入者限定でやったタワーレコードのインストアライブではアルバム新曲が楽器隊のスキルを見せつける「ワールドエンド」だったのに対し、その直後の夏フェスでは比較的わかりやすい和風ロックチューンの「はいからさん」っていうのは端的にその表れな気がしてる。ON THE AIRのところで言ったけどパスピエの強みは純ポップソングだろうと僕は思っていて、これはどちらかというと前作や前々作の意匠を汲んでる曲。その辺はサカナクションみたいにセールスや知名度あげて折り合いつけるまで二面性が生じるような形になるのかなとか思った。だといいんだけど。
9位:森は生きている「森は生きている」
今年東京のインディーズ界隈で最も話題になったと思われるアルバム。はっぴぃえんどをはじめとした先達からの影響を包み隠さず公言し(彼等のWebサイトのプロフィールを見ると、関連ワードとして羅列されている一番最初に「はっぴぃえんど」が記載されている)、それをダイレクトに表現したフォーク・ロックの今と昔の交錯する音は多分2013年を代表する1枚なのだろう。実際のところ夏の終わりから秋口にかけてよく聴いたし、今と昔・夢と現実・生と死が交錯する間を表現した淡いサウンドは聴いていてとても心地いい(”森”は「メメント・モリ(死を想えと言う意味のラテン語)」からもとっている)。
ところで彼等の曲を聴き、その取り巻く状況を見ているとどうしても似たような音楽性を持つceroとの比較をしたくなってしまう。ceroもまた細野晴臣へのリスペクトを公言していて、そして今年共演を果たしたくらいだが、その上で彼等は最近は明確に自分達がポップミュージックを更新していく使命を負っていると自覚し、実際にそういう発言も公にしている等、かなり自分たちの音楽性について自覚をもってきているように思う。その分今年のライブに多数のサポートメンバーを入れて開かれた音を目指したり新曲にもまたダイレクトにブラックミュージックのエッセンスを取り込んだりするなどこのインディーズシーンから開いていこうという工夫も感じられるところがある。その分森は生きているは全くそういう気負いがなく若い。その若さが魅力でもあるのだろうけど、逆に好き勝手やってます的な感じでインディポップ特有の入れなさ・壁の高さを感じてしまうところがある。次の作品でどういう変化があるのかな、と注視したいところ。
8位:Homecomings「Homecoming with me?」
半年前に今年の新人賞はもうこのバンドでいいでしょって言ったけど、Shiggy Jr.の猛烈な追い上げがありつつも無事そうなりそう。このバンドの音の瑞々しさにはは本当胸を打たれる思い。アコースティックで一度ライブ聴いたけどフルバンドで聴きたい。コーラスワークはビーチボーイズの影響が色濃く出てて、これもまた今と昔が交錯している音。アルバム1曲目の「You Never Kiss」はイントロを聴いただけで青春だ!と思わずにはいられないくらいに胸を鷲掴みにしてくる今年のイントロ大賞。
京都のバンドながら積極的に東京に来てライブをしてくれているので機会を見つけて観に行きたいところ。それにつけても京都のバンドの自分へのヒット率高いからもっと積極的に探索したいですよ。
7位:Negicco「Melody Palette」
新潟から全国へ。Negicco結成10周年での初のオリジナルアルバム。元々の魅力であったconnieさん楽曲に加え、小西康陽、西寺郷太、tofubeats、サイプレス上野とロベルト吉野、RAM RIDERなどの個性豊かな作家陣が腕によりをかけて作った楽曲が彼女たちの素朴な歌声を引き立てている。tofubeats作詞作曲の「相思相愛」の軽やかさは言うに及ばないし、最初の西寺郷太作曲の「愛のタワー・オブ・ラブ」からNegiccoのベストパートナーであるconnieさんの「あなたとPOP With You!」へノンストップでつながる流れは10年分のエネルギーが一気にはじけるのを感じられる。
とまあこのアルバム自体はいわゆる「楽曲派」アイドルファン御用達のアルバムを超えて一般ポップスファンに広く訴えかけるべき作品、ということで普通に良作。となるとやはり出てくるのが去年発売の究極のアイドルポップスアルバム、Tomato’n’ Pineの「PS4U」との比較。というかトマパイとの比較。
あのアルバムはそれこそ10年に1度と言ってもいい位の奇跡的な作品だったけどそれと裏腹にトマパイメンバーのモチベーションは低く、その奇跡を置き土産にあっさり「散開」してしまった。その辺がラストライブのDVD発売記念(?)イベントで語られてるんだけどそこで引き合いに出されてるのがNegiccoなわけ。トマパイのプロデューサーだったジェーン・スーさんは「Negiccoはメンバー同士で説得し合って続いてきた、その気力が羨ましい」と率直に言っている(そのジェーンさんはこのアルバム後の第一弾シングル「ときめきのヘッドライナー」の作詞でNegiccoと共演することになる)。それが端的に表れているのが初の本人による作詞曲「ネガティブ・ガールズ!」。ここの1番サビ前でリーダーNao☆ちゃんの歌う「嫌なことは明日考えよう!」っていう歌詞は、だいたい「忘れよう!」ってなるところをあえて向き合ってきた彼女達の歴史が凝縮されている、と言ったら言い過ぎなのかな。
この曲、タイトル・歌詞と裏腹の軽やかで明るい曲調のギャップある感じが凄く好きで僕としては「相思相愛」と並ぶフェイバリットトラック。「ネガティブ・ガールズ!」という曲名の語源はおそらく吉田豪さんが去年ベスト盤発売に合わせて行なったインタビューなんだろうけど(本人達もナタリーのインタビューで「作詞してたらネガティブなことしか出てこなかったけど、吉田豪さんのことを思い出したらネガティブさも個性だからいいやと思ってこのタイトルにした」と言っている)、これを読むと彼女達はPerfumeもびっくりの苦労を重ねている。今年はアイドルのストーリー合戦が過剰になってる節があってその典型例がでんぱ組.incの「W.W.D」と「W.W.D II」だったけど、Negiccoはあまりそういう苦労話を前面に出してこないのが好感の持てるところである。というかNegicco題材にしたら「W.W.D(いや、Nか)」なんて10本くらい書けるんじゃないですか。お涙ちょうだいは余り好きじゃないんだけど、普通に良いパフォーマンスをしてくれちゃうNegiccoさん達、これを読んだら応援しないわけにはいかないよなあと思っちゃう。とにかく10年かかって作りあげたベースの上に成り立っているとても良い作品。この歌声とトラックの絶妙なバランス感を是非とも保ち続けてほしいなあと思う次第。
因みに今年は2回Negiccoのライブを観た。両方ともインストアで、1回目は新宿タワレコの大観衆の後方で、2回目は地元埼玉の大宮アルシェのステージのすぐ前という好位置で。どちらも素晴らしいステージング。そのキャリアの殆どを自己流のレッスンで成長してきたNegiccoは本当に押しも押されぬ実力派のアイドルと言うにふさわしいと思うよ。だからこそ2013年最も意義深いアイドルソングである「アイドルばかり聴かないで」を歌えるのは彼女たちしかいないんだ。この10年にそれだけたくさんの物を背負ってきたわけだから。
もはやアルバムレビューというか激励文みたいになってしまっている。笑。
6位:のあのわ「Cry Like a Monster」
僕のあのわ大好きだったんですよ。「MAGICAL CIRCUS」ですごいよこのバンド!って思って2010年のCDJでフルセットのライブ見てますますハマって過去の音源全部買ったくらい。んでその翌年にミュージシャンにとっての飛躍のステップと言われてるアネッサのタイアップを取ったまでは良かったんだけどそこに無理に合わせにいこうとしてあまりうまくいかなかったのね。そのタイアップシングル「Have a good day!」もだけど、その後に出たミニアルバム「Hi! How Are You?」はなんというか妙に80年代サウンドに急接近してて、「ファンタジー感とポストロックっぽい所がのあのわなんじゃないの?なんなのこれ?」みたいな感想を持って正直に言うと失望したのです。そしてシングルとミニアルバムの、アネッサにむりやり合わせたとしか思えないアートワークにも違和感満載でここでのあのわからはかなり離れてしまったわけ。さらには年が開けた2012年には僕がのあのわで最も気に入っていたプレイヤーであったドラムの本間シュンタが脱退。もうどうなるのこのバンド…?という感じで今年の3月に出たアルバムも聴くことなく夏くらいまでほったらかしにしてたの。
そしたら僕同様にのあのわ愛好家だったレジーさんが「のあのわの新譜超良い」と話していたので、率直に「マジですか?」と聞いてみた所、次のような返事が。
なので聴いてみたらこれはホントだ。前作で大失敗した80年代ポップスを彼等の音として取り込むというアプローチに今回は完全に成功している。「スクォンクの涙」みたいなポストロック感あるものを昔のポップスの要素と現代の海外インディポップの要素とを取り込んでアップデートした、結果としてすごく2013年的なポップスになっている。驚いたよこれ。そして公式に上がっているライブ映像見たらこれまた凄い。
チェロボーカルだったYukkoはギター弾いたり(これは結成初期にもやってたし何度かライブでも見たけど)シンセ弾いたりでマルチプレイヤーになってるし、公式に上がってる新曲を演奏したライブ映像のメンバーの気迫はなんかすごい。これもまた紆余曲折を経たゆえの音なんだろうなあ。
このアルバムを経て、「Hi,How Are You?」の音もアップデートされている。
これオリジナルより抜群に良くなってるよ。このバンドはまだまだこれからだな、と思わせてくれたアルバム。チェロはないけど、それ以外ののあのわ成分は確かに残っていて、それが純度を増した分物凄く迫ってくるものがある。昔とは違うけど、これもまた凄く探究心に満ちた彼等らしいアルバムなんじゃないだろうかな。
というわけでここまでで6位。ここにも今と昔が交錯する音で区切りがつきましたね。なんか面白い。それでは次回、いよいよ厳選に厳選を重ねたトップ5の発表です……!!!
By たにみやん • Music, 年間ベスト • • Tags: Homecomings, Negicco, のあのわ, パスピエ, 森は生きている