11月 10 2013
「亀田音楽専門学校」のケーススタディをしてみよう〜#06 「韻をふんだっていいんじゃない」
久しぶりに書いた業界分析というかレンタルの記事が大いなる盛り上がりを見せて驚きを隠しきれない僕ですが(ご覧頂いた方どうもありがとうございます)、予告通り通常運転で例のやつの更新を(レンタルについては補論みたいなのを後日書くかも)。いよいよ第6回となりましたNHK Eテレの亀田音楽専門学校ケーススタディ。おそらく今回が折り返しかな。ところでこの番組の視聴率どれくらいなんだろう。データ探してるんだけどないんだよね。お金払わないと取れないのかな…?特別枠で再放送したくらいだから好評なのだろうけど性格上数字での裏付けがほしいわけでして。笑
さて、そんなこれまでの回のケーススタディはこちらから。
- 「亀田音楽専門学校」のケーススタディをしてみよう〜#01 「おもてなしのイントロ術」
- 「亀田音楽専門学校」のケーススタディをしてみよう〜#02 「アゲアゲの転調学」
- 「亀田音楽専門学校」のケーススタディをしてみよう〜#03 「無敵のヨナ抜き音階」
- 「亀田音楽専門学校」のケーススタディをしてみよう〜#04「大人のコード学」
- 「亀田音楽専門学校」のケーススタディをしてみよう〜#05「七変化のテンポ学」
さて第6回「韻をふんだっていいんじゃない」。今回も講師はKREVAさん。というかこのお題KREVAさんのためにあるようなもんだね。例により前半は講義内容を要約して、後半はその内容に従ってケーススタディということでその手法が実際に使われている曲を解説するという形で。
●講義内容の要約
韻とは文章の中に母音の並びが似ている言葉を散りばめて詞の流れにリズムを与えるテクニック。今日のテーマは、この「韻」がJPOPに与えている影響を掘り下げている。因みに、KREVAのフィールドであるヒップホップのラップではマストではないけど激しく求められている。まず、JPOPの曲の中で韻を踏んでいる曲を例にとって考えてみることに。
最初の例として挙げられた「JPOPでも素晴らしい韻を踏んだ名曲」はサザンオールスターズ「愛の言霊~Spiritual Message~」。「生まれく抒情詩とは 蒼き星の挿話 夏の調べとは 愛の言霊」の一節では「とは→挿話→とは→とだ(最後ちと強引)」で、「童っぱラッパ」は「わっぱ→ラッパ」で韻を踏んでいる。
韻から聴き手は何を感じて、アーティストは何を伝えようとしているのかを読み取ることで、韻の効能を探るのが今回の目的。そしてやはり韻といえばラップ、ということでラップの魅力を探る。ところでラップとは何?との小野さんの質問に、「リズムに乗って歌ってるとも喋るとも違い、楽器のように言葉を韻を踏みながらリズム良く発するもの」と、KREVAさんが回答。というわけで、ひとまずこれをラップの定義ということにしよう。
さて、ここで流れるは20年前の日本語ラップの大ヒット曲、EAST END × YURIの「DAYONE」。これを素材にラップのリズム感について勉強していくことに。この曲では最初は語尾の母音合わせに終始している(彼→一目惚れ→凄腕→完璧で→車で)。そこから後半になると「はなっしー→だっしー→あやっしー→やさっしー」と複数の音で韻を踏むようになってくる。そうやって韻を踏むことでリズム感が出てくるのだ。次から次へと同じ母音が出てくることによる快感もある。
続いては、校長のお気に入り曲であるというKREVA先生の「あかさたなはまやらわをん」。もちろんこの曲でも多数韻を踏んでいる。「ニャー→ワン→パオーン→ガオー→だもーん→わをーん」、となる。「ん」は普段はっきり発音しない分、オールマイティに使うことができる。そして、「こういう表現はどうやって作るんですか?」という質問に、セットで出てくることもあるが試行錯誤する中で出てくることもあるとKREVA先生は答え、韻をふまなきゃいけないからこそ表現が独特になる、とのコメント。
そこで、韻を踏んでない歌詞を韻を踏んだ歌にしてみるという実験をしてみることに。
素材に選んだのは吉幾三「俺ら東京さ行くだ」。既にこの曲は「○○もねえ」と連呼する形になっているが、ただ同じ言葉を繰り返すのは韻ではない。そこで原曲のリズム感と意味を活かした上で、ちゃんとした韻を踏んでいる歌詞にして見ることに。サビだけは最初にできていて「マジこんな村ムリマジこんな村ムリ東京に行くし」と。笑。そして最終的にできあがった歌詞がこちら。
テレビもねえ ラジオもねえ お店がねえからバイトもねえ
ピアノもねえ 見たことねえ 巡査毎日ぐーるぐる
朝おきて ばあさんつれて 母屋にじいさんを忘れて
電話もねえ 瓦斯もねえ バスは一日一度来る
マジこんな村ムリ マジこんな村ムリ 東京に行くし
たくさん韻を踏みつつ曲の世界観に沿っているという、ね。ラップが面白くなってくるでしょ(by校長)!?
JPOP流、さりげなく踏む韻
何度も韻を踏んでいればいいというのではなくて、たった一度踏むことによって効果を得ているJPOPの名曲がたくさんある。その例として紹介されたのはMr.Children「しるし」。サビの頭の「ダーリンダーリン」から「半信半疑」で韻を踏んでいる。これも「ん」をオールマイティにする使い方。同じメロディのところに戻ってきたときに韻を踏んでいる。言葉とリズムの両方で刺激をされることにより、繰り返された言葉がとても強く入ってくる。ここぞという時の韻の使い方。
KREVAさんの選ぶ韻を踏んだ名曲
- BONNIE PINK「A Perfeck Sky」
「泣かない→焦がさない」、「(マーメイ)ドジャンプ→ロマンス」と韻を踏んでいる。意味を崩さないで韻を踏んでいるすごくいい歌詞。 - 藤井隆「ナンダカンダ」
「なんだかんだ→あんたなんだ」と韻を踏んでいる。口ずさみたくなるキャッチーな韻。 - 真島昌利「朝」
「理不尽を載せリムジンが行く」。この言葉だけで歌い手の庶民感が出ていて、ストーリーが感じられるすごく良い歌詞。
短い言葉でも意味を表現できるところに、韻の奥深さがある。
結論
JPOPの中で韻は欠かせない要素。積極的に使うことで楽しくメッセージを伝えることができる、JPOPの音楽術の魔法のようなもの。韻に親しんで、韻を感じて、自分の作る音楽にちょっと韻を使ってみたら楽しくなるのでは。
●ケーススタディ
というわけで、今回は歌詞ベースで選定するわけだけど、番組の構成に沿って選定してみることにしてみようと思う。
韻を踏みまくりなJPOPの曲
Negicco「相思相愛」
新潟のローカルアイドルから今年は全国区のアイドルになろうとしつつあるNegiccoのキャリア10年目にして初めてのオリジナルアルバム「Melody Palette」に収録されている一曲。作詞・作曲は今年最注目のトラックメイカーtofubeats。この曲はサビで韻を踏みまくっているのが特徴で、まず「好きになって→内気な自分」ときて、後半のフレーズで「ど(う)にかしたい→ど(う)してもすきさ→ど(う)にかしたい→とじまりできない」と韻を踏む。結果、タイトル通りの「相思相愛」を望んでやまない、恋する女の子の弾むような感情をリズミカルに表現できているわけだ。すごくお手本のような韻の使い方。
というわけで、これが収録されている「Melody Palette」は、とてもよいアルバムなので超オススメ。
韻を踏んでるラップの例
何度かこのブログで触れてるんだけど、僕は純粋な(っていうとなんか変だけど)HIPHOPが苦手というかあまり好きではなくて、今回選定した曲はどちらかというとHIPHOPの意匠を組み入れている曲になっている。まあいずれにせよしっかり韻を踏んでいますので。
lyrical school「そりゃ夏だ!」
清純派ヒップホップアイドル、lyrical schoolがこの名前に改名してタワレコ傘下のT-Parette Recordsに移籍してからの最初のシングル。この曲も作詞・作曲はtofubeats。まあヒップホップアイドルというわけで全曲ラップありまくり韻を踏みまくりなんだけど、その中でもとてもわかりやすく韻を踏んでいるのでこの曲を紹介しようというわけ。「リリカルスクールに耳貸すブーム」「1から10までめちゃくちゃクール」ときて、「自宅→(ぜ)いたく」と韻を踏んだあとは、「シャツの裾とか結んだり→シャーベット食べて頭がキーン→夏フェスに出ちゃったり→まぶーしすぎのサンシャイン」とくるんだけど、この4フレーズ、頭は前と後の2フレーズずつで韻を踏んでいるんだけど、しっぽの部分は交互のフレーズで韻を踏むというテクニックを使っていたりする。韻をふんでリズミカルにすることで、夏になって開放感溢れる感じに仕立て上げている。というかかわいい女の子のラップって最高だな!
そんなリリスクの、この曲も収録されているアルバムについてはかつて記事を書いたよ!個人的には今の所今年のアイドル関連のCDではナンバー1かな。因みにNegiccoと同じ、タワレコのアイドル専門レーベルT-Palette Record所属なんだけど、あまり楽曲の配信がされてないところが違ったりしている。でもこの曲だけは置いてある。最初だったからかな。因みに前エントリと絡めると、レンタルはT-Palette全般半年くらい出さないとか結構コントロールしてる。さもありなん。
cero「わたしのすがた」
東京のインディーズシーンを引っぱる最前線のミュージシャンと言っても差し支えない存在であると思う、cero。その奏でる音はいろんな時代のあらゆるジャンルの音が同時並行的に、高いレベルで融合して流れるのが特徴。まあそれ自体はいわゆる東京インディーシーンのミュージシャン達の共通する特徴であると思うんだけど、ceroはポップスとHIPHOPを簡単に接続してしまっているところでポップスの新しさ、挑戦性において際立っているし高い完成度を保っている。さて、この曲では1番の歌詞がラップになっていて、「あの夕方爽快な後悔のあときた豪快な崩壊をコンパイルしたんだ」とざくざく韻を踏んでいる。ここでも「ん」はオールマイティ。次の節でもがんがん韻を踏み、言葉を詰め込みつつ、印象に残るように歌い上げている。因みに2番では全然韻をふんでいない。
因みにこの「わたしのすがた」が収録されている「My Lost City」は去年のマイベストアルバムに選出致しました。コンセプトアルバム然としているところだけでなく、個々の収録されている楽曲も最高。
さりげなく韻を踏んでいるJPOPの曲
ハナレグミ「家族の風景」
シャカッ……いやなんでもないです、元SUPER BUTTER DOGのボーカルハナレグミこと永積タカシのソロ曲。レキシのライブに行ったことある人は「貴族の風景?なにそれ?」と思うことがあったかもしれないけど、つまりこの曲のこと。ていうかこの曲10年前の曲なのか……さて、この曲の韻を踏んでるポイントはサビのフレーズで、「キッチンには〜→七時には」というところ。わずかそれだけ。しかしそれだけでそのキッチンに誰がいるのかとかどういうシチュエーションなのかとかが強調されて伝わってくる。因みにこれも「ん」はオールマイティのメソッドを使ってるね。
しかしまあこのシンプルな弾き語り調で物凄く心地よい歌声を放たれるとたまらない気分になるよね。今年カバーアルバム出したけど、オリジナルも大好きだし、クラムボン原田郁子さんPolarisオオヤユウスケさんとのohanaも再開を心待ちにする次第。
小松未歩「氷の上に立つように」
http://www.youtube.com/watch?v=zpy4SibY6os
中学高校時代はビーイング系大好きで相当おさえていたんだけど、その中でもダントツで大好きだったのが小松未歩。一般的には名探偵コナンのタイアップでおなじみの人だけど、この曲はそのタイアップ第3弾の曲。サビの「氷の→思い」というところで韻を踏んでいる。厳密には同じメロディーではないんだけどね。ここの部分はまさに氷のように張り詰めるというか、ピーンとくるところがある。
因みに小松さん、今は引退同然の状態(公式アナウンスはない)。基本的にいい曲作る人だったしキャリア開始時に物凄い相当ストックあったし他の人にもたくさん書いてたから今の時代こそ活動してほしかったんだけどな…この曲が収録されている「小松未歩2nd〜未来〜」はおそらく高校時代に一番聴いたアルバム。
選んでて思ったのは結構惜しい(要はドンピシャじゃなくて部分的な)踏み方をしてる人なんかもいてやっぱり手法として浸透してるんだなあと思いつつも、全然踏んでない人もいて、やっぱり傾向あるなあとか思った。まあ当たり前の話なんだろうけど。
さて、次回は槇原敬之さんをゲストに迎えて「ツンデレのシカケ術」。
おあとがよろしいようで(よくない)。
12月 11 2013
2013年マイベストソングトップ10
早いものでもう12月も半ばですね。今年もたくさんいろんな音楽を聴いたなあということで、毎年恒例の年間ベストを発表したいと思います。例年はアルバムだけやってたんだけど、今年は楽曲ベスト10にも手を出してみたいと思ったのでまずそちらから先にやってみようかな、と。
かなり絞るの苦労しました。アルバムはもっと苦労したけど。まあ独断と偏見というか感性に基づいているのでその辺ご容赦ください。「今年を象徴する」とか平然と使うと思ったので先に断っておくよ。笑。それから各ミュージシャンから一つずつとしました。では早速行ってみましょう!
10位:星野源「化物」
今年は大半を入院・療養に充てた星野源。その2度の療養の間に作られたアルバムのリードソングがこの「化物」。彼の曲にしてはかなりテンポの速い曲(BPM115を倍テン)なんだけど、そのテンポの速さが彼の「生への執着」を強調しているかのようで、率直に凄みを感じた。このアルバムを買う前の日に渋谷駅に貼ってあった彼の写ってるタワレコのポスターで「音楽はね、死ぬと聴けなくなるんですよ。今のうちだぜ」って書いてあるのを見てその切実さとリアリティになんかグッとくるものがあった。
この曲と次の「ワークソング」は本当にいい曲だったね。ぶっちゃけて言うと既発シングルが霞むくらいに。というかそういう意味ではアルバムトータルとしてはしりすぼみ感あったような。悪くはないんだけど。
9位:jizue「rosso」
京都のインストゥルメンタルバンド、jizueの3rdアルバム「journal」のリードトラック(イントロ後だから実質的な1曲目かな)。ピアノを主軸にしつつも全ての楽器が代わる代わる主役に躍り出てくるところが凄く面白くて、なおかつシリアスながらもテンションがすごく高い、見どころだらけの踊れる曲。インストはインストでも残響系とかよりtoeとか好きな人の方にむしろ薦めたいね(去年も言った)。この曲と先行シングルの「dance」の2曲のインパクトがとにかく強かったのがjizueの今回のアルバム。前半部分は超聴いた。
8位:tofubeats「Don’t Stop The Music feat.森高千里」
今年はtofubeats関連楽曲とにかく沢山聴いたけど、その中でもこの歌の仮歌がSoundCloudに上がったときの衝撃はかなりのものだった。
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水星の時もこうやって制作プロセスを可視化していったんだってね。それがまた凄く今っぽい。個人的には仮歌バージョンもすごく好きというか、森高さんバージョンは森高さんが歌っているということ自体のインパクトが強すぎるのでまあ合わせ技でこの位置かなあとか思ったり。しかしまあティザーMVの「ちょっと出し感」とか合わせて、凄くリリースまでの展開が上手かったなあ、と。これまでのtofubeats的な手法とメジャーレーベル的な手法が見事にマッチして凄く食いつかせる物になってた。個人的には「lost decade」的な音楽性の集大成になるのかなという印象を受けた。これぞタイムレスな音楽がシーンに浸透した2013年を象徴する歌って感じだね(はい象徴1丁入りました〜)。
7位:サカナクション「ミュージック」
以前のサカナクションは「シングル曲ではキャッチーな曲を出してアルバムで彼等の曲世界を提示する」というパターンだったけど、最近は彼らが売れてきたこともあってシングルでの撒き餌が必要なくなってきたし、彼ら自身の表現力が更に伸びてて撒き餌的なキャッチーさと彼ら本来の音楽性を統合させることができるようになってきているように思える。それが端的に表れているのがこの曲。めちゃめちゃサカナクションらしい曲だしその中でキャッチーさ、踊れる感じなどの諸要素が高得点。ここ最近の彼等はシングル曲の出来がとても良い。
きっと数年前のサカナクションだったら「Aoi」の方がシングル化されてたよね。
6位:ザ・なつやすみバンド「サマーゾンビー」
この曲は以前亀田音楽専門学校のケーススタディで使ったね。ザ・なつやすみバンドについては去年出たアルバムも買っていたんだけど、その時はまあわりといいかなくらいだったのが今回一気に突き抜けた感ある。夏の夕方に聴きたい。因みにカップリングの「echo」もめちゃめちゃ良い。こちらはこちらで没入感がすごい。
因みに久しぶりに8cmCDを買ったよ(因みに電話で取り置きしてもらうときに赤か青か選んでくれと言われた)。
5位:花澤香菜「青い鳥」
花澤さんはこれに限らずあがっているMVが少ないのでiTunes試聴で勘弁くださいな。
多分声優さんのアルバムを買うのは初めてだったと思うんだけど、1曲目に入ってたこれは完全にクリティカルヒットだった。この曲は重ねられている音の系統やBPMなどがYUKIの「長い夢」に結構似ていて(もちろん花澤さんのボーカルに合わせたものになっているけど)、そこもたまらなくツボでした。冬頃は本当こればっかり聴いていたなあ。
4位:BABYMETAL「イジメ、ダメ、ゼッタイ」
既にアイドル楽曲大賞で投票済なのでそこに書いてるんだけど改めて。元メタラーでクロスオーバー的な音楽が大好きな者としては最高に大好物な楽曲でした。メロスピ・パワーメタル系のトラックにアイドル要素を乗っけてかつ両方ともレベルが高く、しかもメインボーカルのSU-METALの歌唱力がしっかりしているという、いろいろな要素がいいレベルでがっちり噛み合っている一品。ついにファンクラブのようなものもでき(当然入りました)、いよいよ海外展開も見据えているようで、ようやく楽曲リリース含め(なにせ今年は完全新曲が2曲しかリリースされなかった)活動が本格化されていくのかな、と期待される所。
3位:AKB48「恋するフォーチュンクッキー」
既に書いた話だけどAKB48の曲は今まで全くピンとこなかったと言っていた僕があっさりお買い上げしたという点で個人的には画期的な曲。この曲の魅力については既にアイドル楽曲大賞の話をした時に書いたけど、70年代のソウルミュージックを基調としたタイムレスなサウンド、シンコペーションを多用して弾むような調子を演出したメロディ、指原莉乃がセンターで歌うことを存分に活かしきった歌詞(特に2番)、最後にモーニング娘。の「LOVEマシーン」同様Shocking Blueの「Venus」のリフを引用していること(おっさんホイホイな仕掛けではあるけどw)など、これまたたくさんの要素が噛み合ってできている曲。あとこの曲はあちこちでいろいろな人が踊る動画がアップされたけど、ミドルテンポなので老若男女踊りやすい・ノリやすいっていうのもあるんじゃないかな。そういう意味でもこの曲は本当に2013年を代表する国民的ダンスチューンではないかな。
2位:ハナレグミ「オリビアを聴きながら with 東京スカパラダイスオーケストラ」
カバー曲を入れるかどうかは迷ったんだけど、これはとにかく初夏の時期すごくよく聴いたし上の映像のライブで聴いたときに「最高!」以外の感想が出てこなかったからやっぱり入れときたいし、意志を持ってこの曲をこの位置にランクインさせておきたい。
音楽が売れない時代とか言われる中、新しい曲を探索する層っていうのは確実に減ってて、今年も「既存曲の焼き直し」であるカバー曲・カバーアルバムというものがそういう層へ訴えかけるお手軽な音楽として機能した気がする。そんな中どう考えても「お前、その音楽聴いて育ってきてないしむしろリアルタイムの時代こういうのバカにしてたんじゃないか?」みたいなのを商業的要請でそれらしくこなす敬意もへったくれも感じられないようなカバーなど、目を覆いたくなるようなものが多かった。この曲はそんな凡百の「駄カバー」に引導を渡す出来だったんじゃ無いかと思う次第。これに比肩するクオリティを出せないのであればカバーなんかするんじゃないよ!!と申し上げたい。ホント。でもそれくらいこのカバーは素晴らしいと思うの。
1位:パスピエ「ON THE AIR」
1位はパスピエ。まあ実際この曲今年一番たくさん聴いたしね。TOKYO FMの春キャンペーンのタイアップソングなんだけど、ラジオというキーワードに合わせつつも彼等の個性をきっちり出してる曲。なおかつ最初は少し抑えめの展開にしながらさびで一気にポップさがはじけるようにする展開がまさに雪が溶けて春になるような季節感が味わえる、まさにJ-POPな楽曲。なんでパスピエがこの曲をライブであまりやらないのか疑問を呈したいくらいに完成度が極めて高い曲だと思う。
それにしても今年はホントにパスピエ沢山聴いた。この曲をもっと聴きたかったなあという気持ちもあるけど、去年の「最終電車」といいこういう純ポップな曲こそ彼らの持ち味がすごく出る分野だと思うので、ぜひどんどんやってほしいね。
さて、いくつか次点があるのでそれも紹介。
最後の「マジ勉NOW!」なんかはSoundCloudにアップされてるフリー音源だからね。来年1月15日にCDリリースされるので来年の物扱いしようかは少し迷ったんだけど。こういう風にネットにしかない音源をかなり積極的に聴くようになったのは今年大きい気がする(この辺はアルバムにも出てくるよ)。ただやっぱりアプリ切り替えたりとかめんどくさいなあとか思うとやっぱりDLでも良いから一つのアプリの中に入れて統一して聴きたいなあと思ってしまうので思ったより聴かなかったなあというのが感想。
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全体的な感想としては「ポップス」としての良さ、編曲の良さ、メロディの良さなんかを重要視してる節があるなあと。あとはギターロックが殆ど選ばれてないのが特徴的なところかな。次点のクリープハイプくらいか。随分前から聴いているともうさすがにアイディア出尽くしてる感あるというか、余りイノベーティブな物が出てきていないように思うんだよね。新規性があればいいのかっていうのはまた別の問題としてあるけど、とりあえずこれ以上聴かなくてもいいんじゃないかと思ってしまっているのが現状。そんな中クリープハイプは結構よかった。この前さやわかさん主催の座談会で聞いた話なんだけど彼らのルーツには洋楽がないんだってね。KANA-BOONなんかもそうだけどそういうバンドが支持される時代になったというのはリスナーの変化なのか、ルーツとしての邦楽ロックの土壌の進化なのか。どっちなんでしょうね。前者っぽいけど。
そんなわけで次はアルバムです。これは本気で悩んだ結果たくさんいい作品あるなという結論に落ち着いたのでベスト20まで発表します。長くなるけどおつきあいください〜。
By たにみやん • Music, 年間ベスト • • Tags: AKB48, BABYMETAL, jizue, tofubeats, サカナクション, ザ・なつやすみバンド, ハナレグミ, パスピエ, 星野源, 花澤香菜