11月 17 2013
「亀田音楽専門学校」のケーススタディをしてみよう〜#07 「ツンデレのシカケ術」
さて、第7回となりましたNHK Eテレの亀田音楽専門学校ケーススタディ。だんだんケーススタディ部分が長くなってきているような気がするけど気のせいでしょう。まあそれが目的だからいいのか。
さて、これまでの回のケーススタディはこちらから。だんだん長くなっているのが伺えるかとw
- 「亀田音楽専門学校」のケーススタディをしてみよう〜#01 「おもてなしのイントロ術」
- 「亀田音楽専門学校」のケーススタディをしてみよう〜#02 「アゲアゲの転調学」
- 「亀田音楽専門学校」のケーススタディをしてみよう〜#03 「無敵のヨナ抜き音階」
- 「亀田音楽専門学校」のケーススタディをしてみよう〜#04「大人のコード学」
- 「亀田音楽専門学校」のケーススタディをしてみよう〜#05「七変化のテンポ学」
- 「亀田音楽専門学校」のケーススタディをしてみよう〜#06 「韻をふんだっていいんじゃない」
さて第7回「ツンデレのシカケ術」。今回から講師は槇原敬之さん。例により前半は講義内容を要約して、後半はその内容に従ってケーススタディということでその手法が実際に使われている曲を解説するという形で。
●講義内容の要約
今回取り上げるのは、リスナーを引きつける戦略的音楽テクニック「シカケ」。番組では二つの仕掛けが紹介される。
シカケ1:キメ
伴奏のリズムを変えて、アクセントを揃えて演奏するテクニック。例として出されたのがいきものがかり「ありがとう」。サビ前の歌メロと一緒にはいるジャンジャンっていうリズムの束がシカケ。これはサビが来るよっていう合図。サビへのジャンプ台(第2回参照)のひとつ。これは伴奏のリズムを変えるという種類のジャンプ台にあたる。キメの効果として、リズムの強調で歌と伴奏が合体した「デレ」の効果が出てくるということがある。その間のメロディは突き放されて「ツン」になる。リズムが変わることでちょっと戸惑わせるような感じになって心惹かせる効果がある。
キメはサビ前だけじゃなくて色々なところに使える。槇原敬之「どんなときも」のイントロから歌メロに入るときの音は典型的なキメ。さて、このシカケはどうやって生まれたのか?実は、この歌が元になっているとのこと。
23秒あたりの音に注目(子供の声で隠れちゃってるけど)!実は出前一丁の曲から生まれたのだ。笑。本来Aメロのために作ったキメだけど実はサビのための予告、のろしになっている。このキメがリスナーの心を一つにして曲が歩み寄ってくるような印象を与える。まとめると、合図・強調・心を一つにまとめる効果があるわけだ。しかし、最近はキメが敬遠され気味ぎみである?洋楽はコード感などを重視してスムーズにサビに移行したりするがJPOPでは親切に曲作りをしていた。ただ若い人には王道過ぎて気恥ずかしく、最近は洋楽の影響でキメを使わない曲が増えている、とのこと。
槇原敬之が選ぶキメの名曲
- 田原俊彦「ハッとして!Good」
キメの中でも3連符を使ったりする難易度の高い、歌舞伎のようなキメ - 流星のサドル「流星のサドル」
行こうぜみんな!と思わせるキメ。笑 - Kinki Kids「硝子の少年」
ブレイクしてから「Stay With Me〜」でキメを入れている。歌詞付きのキメ。
シカケ2:ブレイク
演奏中にリズムやメロディーを一時的に停止させる空白部分。先ほどの「硝子の少年」での「Stay With Me〜」の前の無音部分がブレイク。ここまでいい感じで流れていた音楽が断ち切られることにより起きる「ツン」の手法。この手法がドラマチックな展開を生むために使われている。
例としてあげられたのは、B’z「ultra soul」。Do It連呼(キメ)のあとにブレイクする。押して押して押し足す画にいきなり音信不通になるような感じ。笑。ブレイクが緊張感や不安を生む。そしてサビで大盛り上がり。
そしてそのキメとブレイクをふんだんに使ったツンデレの極みの名曲が山口百恵「プレイバック part 2」。何度も無音が続き、不安を煽り、そこから更にサビを起こす(そして「プレイバック!」のところがキメ)。それを山口百恵のクールビューティーなイメージとの合わせ技で曲世界を存分に味わせる曲。この繰り返しがだんだんツンなのかデレなのかわからなくして錯乱に近い状態になるくらいに曲にどっぷり浸らせてしまういう効果もあるという。
というわけで、この曲を槇原先生+亀田校長BANDの面々で演奏。
結論
シカケで一致団結することもできるし、曲から放り出されて自分の感覚で音楽に触れることもできる。シカケが音楽を聴くいろんなきっかけ、チャンス、いろんな場面を演出して雰囲気作りもできる。シカケのおかげでJPOPの幅を広げることができている。シカケは感情の振れ幅を作ってくれる特効薬。ここから曲のメッセージを感じ取ってほしい。
●ケーススタディ
今回ケーススタディの素材を探す中で気付いたんだけど、槇原先生と校長 の言っていた「最近はキメは使われない」ということには、異議あり。というのも、特に去年や今年は80年代や90年代のポップスの意匠が巡り巡って普通に使われるようになっているので(その最も代表的な例がtofubeatsでしょう。今回は出てこないけど。)、キメもブレイクも今のポップスには大胆に使われているのだ。というわけで、今回のケーススタディでの使用楽曲は全部今年リリースされた曲です。
キメを使っている曲
私立恵比寿中学「頑張ってる途中」
まずはももクロの妹分として目下ネクストブレイク候補の私立恵比寿中学。来月にはさいたまスーパーアリーナ公演も控えているということで、平均年齢15歳ちょっとながらお姉さん達のあとを物凄い速さで追っかけている状態。そんな彼女達の保護者的存在としてTOKYO MXの冠番組で共演しているレキシこと池田貴史が書き下ろした曲がこちらの「頑張ってる途中」。
ファンクと共にゴダイゴなどの80年代的な王道JPOPも大好きな池ちゃんのポップセンスが存分に反映されているこの曲、直球でいい曲になっているんだけど、0:54辺り、サビの直前の「でも ほら 空を見上げて」の太字のところでメロディとリズムが全部揃っている。これがまさにキメというやつですね。いいですかここテストに出ますからね。で「everybody!」でテンションを一気に上げてサビに突入することでより盛り上がるというわけだ。
これも収録されている私立恵比寿中学のメジャーファーストアルバム「中人」、すごく良かった。ももクロがストイック路線みたいな感じになってしまったところでどちらかというと正統派のポップスなのですんなり聴けるし。
余談なんだけど、今度出るニューシングル「未確認中学生X」のカップリング曲「U.B.U.」も池ちゃんが作詞作曲してるんだけど、やっぱりキメが入ってる(「頑張ってる途中」の方がはっきりしてるけどね)。
ふくろうず「テレフォンNO.1」
今年2年ぶりのアルバムをリリースして活動に再度ギアを入れ始めたふくろうず。この曲はその2年ぶりのアルバムの表題曲にしてリード曲。この曲はイントロが終わってAメロに入るところ(0:07)とサビの前(0:36)の「デンジャラス!」のところで同じキメを使っている他、2番Bメロ(1:13)では「たんたらたんたらたんたららん」のところでも歌ととリズムが揃ってる。そして最後のサビでも歌とリズムを揃えたりしている。まさにキメまくりの曲なのだ。
ふくろうずの今年出たアルバムについては前にも書いたんだけど、今作では「ビートルズのように」広く聴かれる、エヴァーポップを志向していると発言していて、その中で、このようなキメの多用というか「王道ポップスのテクニックの引用」をしてみたんじゃないかと考えられる。ひとまずそれもあいまってすごくキャッチーになってると思う。
ブレイクを使っている曲
ブレイクを使っている曲はキメとの組み合わせが多い、今回挙げる二つもその例と同じような形。番組で紹介されてた硝子の少年やUltra soulもそうだしね。
ザ・なつやすみバンド「サマーゾンビー」
前回紹介したceroにサポートメンバーとして参加しているMC.sirafuが所属している東京のインディーズバンド、ザ・なつやすみバンド。「毎日がなつやすみだったらいいのになあ」と思わすのどかな曲が魅力。この曲では、48秒辺りの「気になってたんだよ〜」のところでキメが入り、その後57秒あたりで短いブレイクが入る。なのでちょっとわかりにくいかもね。この後おとなしい展開から曲を徐々に盛り上げていって、再度2:10あたりのサビ前の「逃げ出したいの〜」でキメが入ってサビ経突入してそのまま大団円という感じ。
ふわふわしてて超うっとりする曲なんだけど、一旦ブレイクで切って突き放してから再度寄り添ってくるような展開がまたその効果を加速しているようにも思えてくる。まさにツンデレ曲。夏の夕方くらいに女の子とライブで聴きたい曲NO.1ですね。
因みに今時珍しい8cmCDの形態で発売。
Shiggy Jr.「Saturday night to Sunday morning」
最後は今週リリースしたてほやほやの新曲。注目の新人バンド、Shiggy Jr.の初めての全国流通盤「Shiggy Jr. is not a child」のリード曲。さっきのなつやすみバンドのブレイクがわかりづらかったかもしれないけど、今回のブレイクはサビ前に配置されていて、超わかりやすい。 0:48辺りからキメが入り始め、0:51あたりのところでブレイク。そしてドラムのフィルが入ってサビに入る。サビがものすごくポップで盛り上がるものなので、一旦ブレイクでジャンプのために足をかがめて準備するような感じかな。
しかしこのShiggy Jr.なんだけど、またすごい新人が出てきたなあという驚きに包まれている。めちゃめちゃポップで最高に好み。毒気のないCymbalsという感じというか(決して悪い意味では無いんだけど)、明るいギターバンドでポップソングやって女の子がかわいく歌うってホントここ数年お目にかかってなかったので、既にレジーさんが「アイドルブームを通過したaikoみたい」と評してたけど、それこそ色々な音楽的要素が一回りした2010年代だからこそ出てきたバンドな感じあるね。それゆえキメもブレイクも違和感なく。この曲以外だと3曲目の「Oh Yeah!!」とかもめちゃ良い。
というわけで、古くさいキメなんかは最近使われなくなった!?そんなことないない!むしろ今の最前線のポップスには大胆に使われてる例が結構ありますよ、ということで敢えて今年の曲に絞って紹介してみました。今年だっていい曲いっぱいあるし、それらはきっちり考えて作られてるんだなと。そして昔は音楽聴いてたけど…という人達にこそ、今のポップスを聴いて欲しいところ。懐かしさと新しさが同居していてきっと魅力を感じられるんじゃないかと思うんだよね。
さて次回も槇原さん講師で「フライング・ゲットのメロディー学」。AKB48のフライングゲットかと思ったけどどうも違うみたいで。
12月 11 2013
2013年マイベストソングトップ10
早いものでもう12月も半ばですね。今年もたくさんいろんな音楽を聴いたなあということで、毎年恒例の年間ベストを発表したいと思います。例年はアルバムだけやってたんだけど、今年は楽曲ベスト10にも手を出してみたいと思ったのでまずそちらから先にやってみようかな、と。
かなり絞るの苦労しました。アルバムはもっと苦労したけど。まあ独断と偏見というか感性に基づいているのでその辺ご容赦ください。「今年を象徴する」とか平然と使うと思ったので先に断っておくよ。笑。それから各ミュージシャンから一つずつとしました。では早速行ってみましょう!
10位:星野源「化物」
今年は大半を入院・療養に充てた星野源。その2度の療養の間に作られたアルバムのリードソングがこの「化物」。彼の曲にしてはかなりテンポの速い曲(BPM115を倍テン)なんだけど、そのテンポの速さが彼の「生への執着」を強調しているかのようで、率直に凄みを感じた。このアルバムを買う前の日に渋谷駅に貼ってあった彼の写ってるタワレコのポスターで「音楽はね、死ぬと聴けなくなるんですよ。今のうちだぜ」って書いてあるのを見てその切実さとリアリティになんかグッとくるものがあった。
この曲と次の「ワークソング」は本当にいい曲だったね。ぶっちゃけて言うと既発シングルが霞むくらいに。というかそういう意味ではアルバムトータルとしてはしりすぼみ感あったような。悪くはないんだけど。
9位:jizue「rosso」
京都のインストゥルメンタルバンド、jizueの3rdアルバム「journal」のリードトラック(イントロ後だから実質的な1曲目かな)。ピアノを主軸にしつつも全ての楽器が代わる代わる主役に躍り出てくるところが凄く面白くて、なおかつシリアスながらもテンションがすごく高い、見どころだらけの踊れる曲。インストはインストでも残響系とかよりtoeとか好きな人の方にむしろ薦めたいね(去年も言った)。この曲と先行シングルの「dance」の2曲のインパクトがとにかく強かったのがjizueの今回のアルバム。前半部分は超聴いた。
8位:tofubeats「Don’t Stop The Music feat.森高千里」
今年はtofubeats関連楽曲とにかく沢山聴いたけど、その中でもこの歌の仮歌がSoundCloudに上がったときの衝撃はかなりのものだった。
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水星の時もこうやって制作プロセスを可視化していったんだってね。それがまた凄く今っぽい。個人的には仮歌バージョンもすごく好きというか、森高さんバージョンは森高さんが歌っているということ自体のインパクトが強すぎるのでまあ合わせ技でこの位置かなあとか思ったり。しかしまあティザーMVの「ちょっと出し感」とか合わせて、凄くリリースまでの展開が上手かったなあ、と。これまでのtofubeats的な手法とメジャーレーベル的な手法が見事にマッチして凄く食いつかせる物になってた。個人的には「lost decade」的な音楽性の集大成になるのかなという印象を受けた。これぞタイムレスな音楽がシーンに浸透した2013年を象徴する歌って感じだね(はい象徴1丁入りました〜)。
7位:サカナクション「ミュージック」
以前のサカナクションは「シングル曲ではキャッチーな曲を出してアルバムで彼等の曲世界を提示する」というパターンだったけど、最近は彼らが売れてきたこともあってシングルでの撒き餌が必要なくなってきたし、彼ら自身の表現力が更に伸びてて撒き餌的なキャッチーさと彼ら本来の音楽性を統合させることができるようになってきているように思える。それが端的に表れているのがこの曲。めちゃめちゃサカナクションらしい曲だしその中でキャッチーさ、踊れる感じなどの諸要素が高得点。ここ最近の彼等はシングル曲の出来がとても良い。
きっと数年前のサカナクションだったら「Aoi」の方がシングル化されてたよね。
6位:ザ・なつやすみバンド「サマーゾンビー」
この曲は以前亀田音楽専門学校のケーススタディで使ったね。ザ・なつやすみバンドについては去年出たアルバムも買っていたんだけど、その時はまあわりといいかなくらいだったのが今回一気に突き抜けた感ある。夏の夕方に聴きたい。因みにカップリングの「echo」もめちゃめちゃ良い。こちらはこちらで没入感がすごい。
因みに久しぶりに8cmCDを買ったよ(因みに電話で取り置きしてもらうときに赤か青か選んでくれと言われた)。
5位:花澤香菜「青い鳥」
花澤さんはこれに限らずあがっているMVが少ないのでiTunes試聴で勘弁くださいな。
多分声優さんのアルバムを買うのは初めてだったと思うんだけど、1曲目に入ってたこれは完全にクリティカルヒットだった。この曲は重ねられている音の系統やBPMなどがYUKIの「長い夢」に結構似ていて(もちろん花澤さんのボーカルに合わせたものになっているけど)、そこもたまらなくツボでした。冬頃は本当こればっかり聴いていたなあ。
4位:BABYMETAL「イジメ、ダメ、ゼッタイ」
既にアイドル楽曲大賞で投票済なのでそこに書いてるんだけど改めて。元メタラーでクロスオーバー的な音楽が大好きな者としては最高に大好物な楽曲でした。メロスピ・パワーメタル系のトラックにアイドル要素を乗っけてかつ両方ともレベルが高く、しかもメインボーカルのSU-METALの歌唱力がしっかりしているという、いろいろな要素がいいレベルでがっちり噛み合っている一品。ついにファンクラブのようなものもでき(当然入りました)、いよいよ海外展開も見据えているようで、ようやく楽曲リリース含め(なにせ今年は完全新曲が2曲しかリリースされなかった)活動が本格化されていくのかな、と期待される所。
3位:AKB48「恋するフォーチュンクッキー」
既に書いた話だけどAKB48の曲は今まで全くピンとこなかったと言っていた僕があっさりお買い上げしたという点で個人的には画期的な曲。この曲の魅力については既にアイドル楽曲大賞の話をした時に書いたけど、70年代のソウルミュージックを基調としたタイムレスなサウンド、シンコペーションを多用して弾むような調子を演出したメロディ、指原莉乃がセンターで歌うことを存分に活かしきった歌詞(特に2番)、最後にモーニング娘。の「LOVEマシーン」同様Shocking Blueの「Venus」のリフを引用していること(おっさんホイホイな仕掛けではあるけどw)など、これまたたくさんの要素が噛み合ってできている曲。あとこの曲はあちこちでいろいろな人が踊る動画がアップされたけど、ミドルテンポなので老若男女踊りやすい・ノリやすいっていうのもあるんじゃないかな。そういう意味でもこの曲は本当に2013年を代表する国民的ダンスチューンではないかな。
2位:ハナレグミ「オリビアを聴きながら with 東京スカパラダイスオーケストラ」
カバー曲を入れるかどうかは迷ったんだけど、これはとにかく初夏の時期すごくよく聴いたし上の映像のライブで聴いたときに「最高!」以外の感想が出てこなかったからやっぱり入れときたいし、意志を持ってこの曲をこの位置にランクインさせておきたい。
音楽が売れない時代とか言われる中、新しい曲を探索する層っていうのは確実に減ってて、今年も「既存曲の焼き直し」であるカバー曲・カバーアルバムというものがそういう層へ訴えかけるお手軽な音楽として機能した気がする。そんな中どう考えても「お前、その音楽聴いて育ってきてないしむしろリアルタイムの時代こういうのバカにしてたんじゃないか?」みたいなのを商業的要請でそれらしくこなす敬意もへったくれも感じられないようなカバーなど、目を覆いたくなるようなものが多かった。この曲はそんな凡百の「駄カバー」に引導を渡す出来だったんじゃ無いかと思う次第。これに比肩するクオリティを出せないのであればカバーなんかするんじゃないよ!!と申し上げたい。ホント。でもそれくらいこのカバーは素晴らしいと思うの。
1位:パスピエ「ON THE AIR」
1位はパスピエ。まあ実際この曲今年一番たくさん聴いたしね。TOKYO FMの春キャンペーンのタイアップソングなんだけど、ラジオというキーワードに合わせつつも彼等の個性をきっちり出してる曲。なおかつ最初は少し抑えめの展開にしながらさびで一気にポップさがはじけるようにする展開がまさに雪が溶けて春になるような季節感が味わえる、まさにJ-POPな楽曲。なんでパスピエがこの曲をライブであまりやらないのか疑問を呈したいくらいに完成度が極めて高い曲だと思う。
それにしても今年はホントにパスピエ沢山聴いた。この曲をもっと聴きたかったなあという気持ちもあるけど、去年の「最終電車」といいこういう純ポップな曲こそ彼らの持ち味がすごく出る分野だと思うので、ぜひどんどんやってほしいね。
さて、いくつか次点があるのでそれも紹介。
最後の「マジ勉NOW!」なんかはSoundCloudにアップされてるフリー音源だからね。来年1月15日にCDリリースされるので来年の物扱いしようかは少し迷ったんだけど。こういう風にネットにしかない音源をかなり積極的に聴くようになったのは今年大きい気がする(この辺はアルバムにも出てくるよ)。ただやっぱりアプリ切り替えたりとかめんどくさいなあとか思うとやっぱりDLでも良いから一つのアプリの中に入れて統一して聴きたいなあと思ってしまうので思ったより聴かなかったなあというのが感想。
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全体的な感想としては「ポップス」としての良さ、編曲の良さ、メロディの良さなんかを重要視してる節があるなあと。あとはギターロックが殆ど選ばれてないのが特徴的なところかな。次点のクリープハイプくらいか。随分前から聴いているともうさすがにアイディア出尽くしてる感あるというか、余りイノベーティブな物が出てきていないように思うんだよね。新規性があればいいのかっていうのはまた別の問題としてあるけど、とりあえずこれ以上聴かなくてもいいんじゃないかと思ってしまっているのが現状。そんな中クリープハイプは結構よかった。この前さやわかさん主催の座談会で聞いた話なんだけど彼らのルーツには洋楽がないんだってね。KANA-BOONなんかもそうだけどそういうバンドが支持される時代になったというのはリスナーの変化なのか、ルーツとしての邦楽ロックの土壌の進化なのか。どっちなんでしょうね。前者っぽいけど。
そんなわけで次はアルバムです。これは本気で悩んだ結果たくさんいい作品あるなという結論に落ち着いたのでベスト20まで発表します。長くなるけどおつきあいください〜。
By たにみやん • Music, 年間ベスト • • Tags: AKB48, BABYMETAL, jizue, tofubeats, サカナクション, ザ・なつやすみバンド, ハナレグミ, パスピエ, 星野源, 花澤香菜