9月 17 2010
「市場を創る」ー楽しい経済学の理論書
大学が商学部だったこともあって、経営・マーケティングの本を読むのはかなり大好きで、さらにそこにITと来るとアドレナリンがだらだら流れた状態になるのだけど、いわゆる(自己啓発紛いの)ビジネス本の類は好きでない。そんでもって、もう一つ類書と思われる経済学の本。これもそんなに得意ではない。でも嫌いではない。そんなに頻繁に読むのは疲れるけど、たまに読むと抽象的なその内容と現実を行き来することで新たな知見が出てきたりして面白いのだ。
そんな本を久々に読んだ。
市場を創る―バザールからネット取引まで (叢書“制度を考える”)
この本は2ちゃんねる経営学版の「おすすめの経営・マーケティング本スレッド」で去年の頭くらいに絶賛されてたもの。このスレッド、僕は大学時代から愛読していて本選びの参考にしているんだけど、ものすごくヒット率が高い。まあそんなわけで去年の3月くらいに買ったけどそのまま寝かして今にいたり、先月思い立って読んだという次第。そんな本他にもいっぱいあるけどね。
内容は経済学の舞台である「市場」。この「市場」というものについて生い立ちだったり、色々なパターンの姿だったり、性質だったりを様々な切り口から考察しているという本。参考になる部分が多く面白かったので、今日はその内容を紹介してみようと思う。
最初は11章の「公衆に対する陰謀」。
この章で取り扱っているのはズバリ「汚職」。政府と市場の関係っていうのはいつも適切とは限らなくて、それが故に政府が市場相手に嫌がらせしたり収奪したりすることもあるよねっていう話。一般的に汚職は悪。多くの国では法律で犯罪と規定されている。汚職によって経済活動、特に投資活動が阻害される。みんなそういう理解だと思う。基本的に間違っていない。しかし、スハルト政権下のインドネシアは汚職が蔓延していたにも関わらず、30年近く高い経済成長率を維持したという。理由は、スハルト一族が「汚職を独占」したからだと。汚職が起こることが所与であれば、その汚職の起き方をコントロールするという話。私腹を肥やす官僚はクビにされた。税関は廃止された。どちらも、スハルト一族の利にならないから。おかげで、スハルト一族の利になる様な汚職や賄賂さえしてしまえば保護されるので、投資が抑制されないのだという。
なんと。そんなことがありうるのか。汚職が逆に経済活動を効率化するなんて。
でもこれはあくまで例外であって、その章の後半分でページを割かれている日本における談合(ボトムアップの汚職)も含めて、基本的に汚職は経済活動を非効率化するというのは間違いない。
そりゃあそうか。
しかし、ここで書いてある通り、市場が上手く動く様にする方法っていうのはいくらでもあって、今の政治家さん達みたいにいたずらにマーケットを押さえつけにいこうとするんじゃなくて上手く機能させるにはどうすればいいのかという観点で考えなくてはいけない。
その上で非常に示唆的なのが16章の「貧困撲滅の戦士達」。この章は実に痛快。「グローバリゼーションにより貧しい国がさらに不幸になる」という反グローバリズム論をばっさり切り捨てている。貧しい国が貧しいままなのは、経済成長に失敗したからだという。グローバリゼーションの中で成功している新興国もあるし、失敗している先進国もある。投資が少ないとか、制度が未整備だとか、まずグローバリゼーション以前の問題が殆どであるという。
そこにさらに僕から付け加えるとしたら、グローバリゼーションっていうのは、いろんな国や地域の人達が一つのコースに集まってレースをする様なもので、ちょっと手を抜いたら一気に抜き去られて順位が下がってしまうというところに恐ろしさがあって、その影響を恐れる人達が、貧困国との格差の拡大という「もっともらしいこと」を持ち出してる様にも思える。汚職の話もそうだけど、「もっともらしいこと」を正論でいわれると反論し辛いけど、解きほぐしてみる事が大事だと思う。安易な正論に流されない様に。
他にも「特許料による高い薬代がAIDSの特効薬をアフリカに行き渡らせるのを阻害しているけど、特許を廃止したら栗の研究開発のインセンティブがなくなるというパラドックス(無理矢理過ぎて長いな…)」など、すごくわかりやすい事例と一緒に「市場」について考察が色々されている。難しそうだけど、数式とかは殆ど出てこなくて、あくまで文章で説明してくれるので、楽しんで読める。すごく面白い理論書だった。
僕は経済学って、社会分析ツールの一つと思っていて、理論を元に色々考えを巡らすのが結構好きだったりする。Web関連のこととこの本の論理を結びつけて考えて見ると面白いんじゃないかなと思っている。なんかまとまったらまた書いてみよう。
9月 20 2010
「FOMA 補助充電アダプタ 02」をiPhoneユーザー的に色々いじってみた
iPhone 4は便利で楽しいんだけど、とにかくバッテリーの持ちが悪いことこの上なし。それゆえにどうやって電池を持たすかということとどれだけ充電のチャンスを確保するかが大事になってくるわけで。僕はいつもはeneloop Stick Boosterを持ち歩いているんだけど、あまり充電できないのと電源端子の部分が異常に熱くなるのがどうもなあと思っていたわけで。富良野は寒いわけで。
そんなところに朗報。
「FOMA 補助充電アダプタ 02」9月10日発売
これは来た!
前世代機にあたるFOMA 補助充電アダプタ 01も持っているんだけど、docomo携帯電話のバッテリー確保に大いに活躍してくれていた。iPhone導入してからdocomo携帯が電話とちょっとのメールとiコンシェルにしか使われなくなった結果、2〜3日電池が持つようになりこの子は退役状態だったんだけど、今回はスマートフォンも出来ると。USBならiPhoneも出来るよね。ってことはゲットするしかないよね。
というわけで数日前に会社の近くにあるドコモショップに行ってみたところ、
「申し訳ございません、品切れでして次の入荷も未定でございます」
とのこと。うーん残念。
しかし、もしかしたら…と思い家の近くにあるドコモスポット(ショップより一段下がる。でも何故か超広い)に昨日行ってみて、受付の兄ちゃんにないかどうか聞いたところ、
「えっ!?少々お待ちください…」
明らかに知らない風だった。大丈夫かよここ……いくら微妙な立地にあるとはいってもなあ。
そんでもってとりあえずカウンターに通されたところ、
「在庫ございます!」
あった!!
マジかよ!!
さすが微妙な立地なだけあるwww
ポイントは3300ポイント消費。現金販売だとこれに消費税が付く。01が2000ポイントなのに比べると高いよね。しばらくは電池パック無料交換セールの対象にはならないそうだ。しかし01は終息する模様(公式サイトで製品詳細へのリンクが無くなっている)なので、その辺どうするのだろう。
前置きが長くなった。
というわけでモノは手に入れたので昨日今日で試しに色々使ってみた。
まずパッケージ。

01は紙だったけど、今回は透明プラスチック系。
早速01と02を比較してみる。

かなり大きさに差がある。
因みに、カタログスペックは以下の通り。
01:69(高さ)×56(幅)×14(厚さ)、71g
02:102.5(高さ)×58.5(幅)×15.7(厚さ)、96.5g
手に取ってみると確かに02はそれなりの重量感がある。
次は厚さの比較と外部端子とか。


頭の部分(というのが正しいのか?)にUSBと給電の端子が付いてる。
USBの方にスマートフォンの充電ケーブルをさしてねということだ。
ちなみに給電には01同様FOMAの携帯電話に使う物をそのまま使う形になっている。
FOMA用の充電アダプタ部分は本体に収納されており、本体のガワをスライドさせると出てくる。
01よりもアダプタのケーブルが短くなっている。01はちょっと長すぎた気がするけど、これは非常に良い。
さて。この辺は色々な記事を見れば分かる話かと思われるので、ここでは、細かい操作感について色々試してみたので、それを中心に書いてみる。そんでもって、実際docomo+iPhoneの組み合わせで使っているユーザーに使う価値あるのかなということを判断したい。
●充電量
これは実際はカタログに載ってるね。3.7Vの1800mAh。01と一緒。
iPhoneに繋いでみると、だいたい70%分くらい充電できる。
でもiPhone 4の電池は3.7Vの1420mAhだから、フル充電できるんじゃないかなあ?
よく分からん。
因みに01は繋ぐとすぐ充電されたが、02は繋いでも「START」ボタンを押さないと充電が始まらない。
●2つ繋いだら同時充電は出来るか
出来ない。2つ繋いだ場合はFOMA端子側が優先される。
因みにFOMA側の充電が終了したあとにUSB側に切り替えてくれるのかと思ったらそれもない。
FOMAの方に携帯電話が繋がれているときはUSBは無効になってるみたい。
ていうかそもそも2つ同時に繋ぐ事は推奨されてなかったりする…
●給電しながらの充電
01と02両方ともこれは出来ない。
んでもって、01の時には携帯電話の充電が終わると自動的にバッテリーの充電が始まる。
これは02でも基本的に同じ。
ただ、iPhoneは充電終了後も充電モードがしばらく終わらない仕様になっているので、バッテリー充電モードへの切り替わりは遅い。
これはちょっと残念。
ちなみにiPhone充電中にアダプタの電源残量が無くなるとiPhoneとの接続が切れるので、すぐにバッテリー充電に切り替わるので、繋いでおいて無駄ということはない。
●総合評価
容量的には十分だと思う。
これ+Dock USBケーブル+FOMA USBケーブル+USB電源アダプタ(iPhone付属品)の組み合わせで死角はなくなる。
あとはSTARTボタン押すのを忘れないようにすることかな。
まあそもそもこれを使い切っちゃうほどiPhone使う事なんて無いんだけどね…
職場にも電源置いてあるし。
そう考えるとFOMA用の充電ケーブルは持たなくても良いかな…
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2011/12/4追記
実は最近容量が足りなくなってきたので、「ChargePad」なる製品に鞍替えしました。こっちの方が圧倒的にいいわ…
iPhoneの充電はChagePadで十分まかなえるという話
By たにみやん • Mobile •