12月 23 2015
2015年マイベストディスクトップ20 10位〜1位
はい、今年のまとめということで、よく聴いたアルバムベスト10です。
一応おさらい。基本的なルールは今年発売された邦楽のアルバム(ミニアルバム含む)からの選出。因みに過去のランキングはこちらからどうぞ。
2010年のランキング 1位:サカナクション「kikUUiki」
2011年のランキング 1位:レキシ「レキツ」
2012年のランキング 1位:cero「My Lost City」
2013年のランキング 1位:tofubeats「lost decade」
2014年のランキング 1位:BABYMETAL「BABYMETAL」
20位から11位
ここで挙げたアルバムはホントにどれもお勧めです。例年以上に上位は横一線です。例によりAmazonとiTunesとApple Musicへの試聴リンクは付いているけどAWAやLINE MUSICやGoogle Play Musicユーザーの人は自分で探してくれ!
10位:lyrical school「SPOT」
詳細はこちら。個々の楽曲は良い。構成もよくわかる。ただ、若干のぶつ切り感があったかな。いずれにせよ「CAR」「ゆめであいたいね」などの秀逸なアルバム新曲もありでトータルの満足度は高かった。メンバーが変わってこれからどうなっていくのか、来年もウォッチしていく感じ。ひとまずhimeちゃん加入初回のライブはニコ生で見たけど、えらくラップが上手くて驚いた。
9位:きのこ帝国「猫とアレルギー」
前は結構よく聴いていたけど最近はあまり音楽聞いてないよっていう人にきのこ帝国を聴かせたら「Coccoっぽい」というコメントをもらった。確かに作品を出すたびにどんどん穏やかで落ち着いた曲になって本来のメロディの良さが際立っていってる、というのは両者に共通するところかも。今作は聞きながらうっとりする感じがしてよかった。
8位:CICADA「Bedroom」
ネオソウル meets クラブミュージック meets J-POPみたいな感じで、個人的には完全に好みのど真ん中みたいなサウンドだった。しかもこういう曲やるグループってほとんど男性ボーカルなんだけど(これは日本で無くて海外でもそうだ)、若干paris matchみたいな色気のある女性ボーカルがポイント高し。こういうバンドがもっと出てくるとグルーヴ感とか多様化してより面白くなっていくと思うから応援したい。
7位:安室奈美恵「_genic」
シンプルに、超クオリティが高かった。テイラー・スウィフトとかアリアナ・グランデとかと並べて聴いても別に違和感ないだろう。あと去年のバンプに続き初音ミクとも共演していたんだけど、より特性を活かすというか、リズム重視で歌わせている感じで、アプローチというか考え方の違いが際立ってるなあとしきり。
6位:星野源「Yellow Dancer」
以前からの内省的な感じの曲やSAKEROCKを彷彿とさせるようなインストも挟み込みながらも、大部分を占めるのはブラックミュージック直系の王道J-POP。アシッドな感じの「Snow Men」や「Soul」なんかも含め、全体的に開かれている印象が強く、とにかく彼は色々と良い時期にあるんだろうな、ということが強く感じられる物であった。この勢いで紅白出て、スターダムを一気に登って行っちゃうんだろうなあ。すごいなあ。
5位:bird「Lush」
試聴用のSoundCloud音源、なぜ消したし…「ドラム良ければ全てよし」と言い切る富田ラボさんがここ数年の「ロバート・グラスパー以降」のリズム・ドラム革新に対する研究成果を遺憾なくつぎ込んだ作品。前から僕も取り上げている「ヒップホップのアナログマシンで作られたよれたビートをジャズドラマーが自分の手で再現」したものを構造分解して冨田さんオリジナルのサンプリング音源を使ってデジタルに再現する、という恐ろしい作品。単純なビートはあまりないのでそれなりにノリが独特で入りづらいみたいなところはあるかもしれないけど、とにかくドラムがサイコーであり、聴いていてスリルを味わえる。これについてはbirdと冨田さん二人のインタビューがハイパー面白いのでぜひ読むべき。
4位:cero「Obscure Ride」
birdと並ぶ「今年の最先端」枠の代表選手。ネオソウル・今ジャズ的なものをJ-POPの中に落とし込むということ自体は、この作品リリース時に挙げた通り近年急激に増えてきている。しかしながら、そういった作品群の中でこのアルバムのクオリティは群を抜いている。なぜかというと、「変にアーバンにカッコつけた感じになっていない、肩肘張らないポップスに仕上げていること」と、メロディや高城晶平のボーカル技術などによるところが大きい。それは彼等が経てきた音楽的変遷による積み上げによるというところもあり、「最初からブラック思考ではないバンドだった」ことは案外大きいのかもしれない。だからこれからもまだまだ変わっていくわけで。年末、久々に見るのが楽しみである。
3位:POLTA「SAD COMMUNICATION」
noteにもブログにも長文のレビューっぽいものを垂れ流してしまった後で何を書くのかって感じもするんだけど、どうしてもこのアルバムのことを話そうとすると「30代の自分の現状」みたいなものと切り離して考えることができない。ただ、それを踏まえても率直にメロディ・アレンジに無駄がない聴きごたえのある作品だと思う次第。 だからこそ歌詞の内容がすんなり入ってくる、とも言えるわけで。今の時代こういう率直なギターポップをやるバンドはいないので、いろいろ苦労しているみたいな話もTwitterなんかで伝え聞くところであるので大事にして行ってほしいし僕も来年こそはライブ行かないとな。
2位:アナログフィッシュ「Almost A Rainbow」
上で挙げている「Baby Soda Pop」はこのアルバムの1曲目なんだけど、こんな美しいハーモニーをのっけからならされてしまったらそれだけでノックアウトなのであった。そしてこの歌詞がとても良い。もちろん「Baby Soda Pop」もなんだけど、「No Rain(No Rainbow)」はさらに良い(柴那典さんの分析を参照。というか必読)。この曲の「ただそうであるというだけのものに対価っているの?」や、「Baby Soda Pop」の「待ちに流れているようなラブソングみたいな言葉が恋の言葉だというなら、僕は恋を知らないってことだ」という、なんとなく感じているけど言葉にしていなかったような心境に輪郭を付けてくれるような歌詞。とにかく必聴。
1位:花澤香菜「Blue Avenue」
ぶっちゃけた話をすると、この曲に収録されているシングル曲は別にそんなに良くない(やくしまるえつこ作詞作曲の「こきゅうとす」に関して言えば、完全に曲と声がマッチしていて驚いたけど、それでも曲自体がいいか、というと普通くらい)。ただし、アルバムのために新規にニューヨークでレコーディングした楽曲がめちゃくちゃいい。1曲目「I ♥ NEW DAY!!」のイントロのドラムの音が質感がめちゃくちゃ良くて、そこで一気に引き込まれる。そこからの曲順の緩急はなかなか良い。個人的にはクラムボンのミトさん作曲による「Trace」やプロデューサー北川勝利さんによるダブナンバー「プール」等の憂いを帯びた楽曲群がとてもはまっていた。前から言っている通り声優さんのアルバムは表現力を誇示しようと収録曲の曲調があらばらで散漫な物が多い、と思っていたのだけど、このアルバムに関して言えばそこをプロデューサーが上手く仕切って整理している、という印象を持った。これまでのアルバムも曲はいいんだけど耳に残らない、みたいなのが多かったけど、今回はそんなこと無かった。割り切りが大事というか、欲張らないことが大事だということを教えて頂きました。VIVA LA ROCK初日(というかスピッツ出演日)と重なってなければ武道館ワンマンも行ったんだけどなあ……
●感想とか総評とか
選んでみるとびっくりするくらいに「ブラックミュージックをそれぞれの形で咀嚼して折衷的にアウトプットしている音楽」の割合が高い。さらにいうとネオソウルや今ジャズ・JTNC的を取り込んだJ-POPはトップ10の半分くらいを占めている。去年くらいから自分の音楽的関心のメインである部分だしそもそもこういう折衷的・クロスオーバー的なものが大好きなのでまあそうだよなって感じなんだけど、自分こんなにブラックミュージック好きだったのか!と少々驚いている。もちろんトップ20に上げたもの以外にもそういった傾向のものをたくさん聴いてるしApple Music使い始めてからは海外の新世代ジャズをガンガン聴いているので来年以降も同じような感じになるかもw
なんだけど、そういう範疇に入るはずの「アーバンなシティポップ」的な、カッティングギター中心でファンク・ソウル系のベースラインをのっけたような「シティポップ」的なものには食傷気味になってしまっている。フォーマットとしてはもう相当界隈に氾濫してしまっているので、ここからは歌詞・メロディの良さを上げるかリズム面などに工夫を入れるかなどしていかないとこれらのバンドは持続が難しいのではないかと感じた。そういう面での先行事例としてはベストディスクに入れていないけどAwesome City Clubの「Awesome City Tracks2」なんかはそういう取り組みが見られて、とても聴きごたえがあった。
今回はApple Musicへのリンクもつけてみた。定額制ストリーミングサービスで自分の音楽視聴スタイルが何か変わったかというと、CDリッピングが果てしなくめんどくさくなったのでほとんどレンタルしなくなり、CDよりも大抵配信で買うようになった(値段が安いというのもあるけどそれは前からで、本格的に利便性を求めて配信を使うようになった)。なのでジャニーズは今年下半期殆ど聴かなかった。というかこれに出てる曲ばっか聴いてるのである種の偏りは生じているのかもしれない。今のところどんどんApple Musicで聴けるようになっているので、来年以降も生活の中心ツールになるだろうな、と感じている。
というわけで来年もいろいろ聞いていきたいな、という感じなんだけど多分もう1回くらい使って洋楽とかもろもろ回収し損ねている話をするんじゃないかと思う。
12月 30 2015
洋楽マイベストとか書きつつ2015年を総括するの巻
暮れゆく今年。まずはApple Musicでいろいろ聴いたしせっかくなんで洋楽ベストも出しておこうみたいな話です。率直な話聴いた作品の数は圧倒的に少ないので色々ご勘弁頂きたい!w
10:Kendrick Scott Oracle「We Are the Drum」
9:Thundercat「The Beyond / Where the Giants Roam」
8:Alabama Shakes「Sound & Color」
7:Robert Glasper「Covered」
6:Kendrick Lamar「To Pimp A Butterfly」
5:Hiatus Kaiyote「Choose Your Weapon」
4:Kamashi Washington「The Epic」
3:The Spandettes「Sequin Sunrise」
2:Christian Scott「Stretch Music」
1:Tigran Hamasyan「Mockroot」
超偏ってるやんけ!!!!!!!!
ほとんどジャズとネオソウル的なものばっかりであった。いや、パッションピットもニュー・オーダーもカーリー・レイ・ジェプセンもミューズも聴いたんだよ。でも圧倒的にこの界隈が面白かった。特に2位のクリスティアン・スコットと5位のハイエイタス・カイヨーテはとにかくドラム・リズムが楽しすぎたのでオススメです。前に音ゲーの記事書いたけど、特にドラムマニアをやってたことはこの辺の界隈が好きなことに影響大かもしれないのです。今でも大概の曲のドラムのフレーズが頭の中でドラムマニア譜面(旧筐体の方ね)に変換されて流れてくるので(笑)、複雑なリズムがあるとどう表現するのかなーとか色々興味津々になるわけ。自分でなんとなくてでリズム打ったりとか。そんなわけでこんな順位になりましたとさ。1位のティグランは1月のリリースだけど、ほんとたくさん聴いた。メタルっぽさがあるところなんかも含めて自分の好みにかなり合ってた感じ。
ちなみにSpandettesはライブも行きました(アトグラスパーのエクスペリメントの方も。トリオは行かなかった)。ちなみに今年のベストライブはD’Angelo And The Vanguardです(アルバムは去年だったけど)。はっきり言うと生涯ベスト位な感じ。まあ来年春に再来日するんでまた行きますがね!生涯ベスト更新か、それもと2位に位置付けられるか楽しみであります。(あと年明けにはクリス・デイヴ&ドラムヘッズも…!)
●2015年を振り返る
正直に言うと2月以降あまり記事を書けなかった。そんな中Apple Musicが出た翌日に3時間くらいで書いた記事がきっかけになって雑誌に載ることになった。色々と勉強になる経験でありとても楽しかったし身の回りの人にも色々読んでもらえてよかったなあという感じなんだけど、全般的に今年書いた記事については質的にも満足していないものが多く、来年以降は直したいなあという気持ち。具体的には、自分がどう考えたかとか感じたかとかを掘り下げて明確な言葉にしたいとか、単純に表現の引き出しを増やしたいなあとかそういう話。そういえば今年は読書量も少なかったな……
ここで今年書いた記事で良かったものをつらつら挙げていきましょう。
ベビメタ関連で1月に書いた記事2つとも結構よく書けてるという自信あり。正直Road Of Resistanceの楽曲解説は何度か書いたこの手の記事の中で一番よくできてるかも。ベビメタ快進撃の概説はその前に大間違いな記事が上がったからそのカウンターとして書いた節があるんだけど、個人的に考えていたことをまとめ切れた感じがある。横浜アリーナも行ったし、来年の東京ドームを前に、THE ONE(ベビメタの会員サービス)は結局継続するのでありました。
個人的に今年の記事で一番気に入ってるかもしれない。音ゲーをゲームとしてだけ捉えるのではなく、ミュージシャンの受け皿だったり若い世代の音楽受容経路の一つだったりとかいろんな面から見てみると面白いんじゃないかな、という話です。あと、嵐が新曲出したりするたびに佐々木博史さんがお仕事されてるかどうか確認してます。
雑誌「MONOQLO」に載ることになったきっかけの記事。実は今年書いた記事の中で書くまでに要した時間が一番短い記事でもある。Apple Musicが開始された次の日の昼休みくらいに思いついて、そのまま帰りの電車の中で大体ネタを整理して、帰宅してから1時間半くらいで書き上げた。今年一番集中力を発揮した瞬間かもしれない。「Apple Music邦楽少なくてダメ」みたいな直後評判を多少なりともひっくり返せたのかな、という気もしたり。それにしても今年は良くも悪くもApple Music様々、という1年だった。自分の音楽の選定・捜索基準が相当変わってしまった。
あとこれは当面の僕のテーマかもなあと思いつつある。30代になってもずっと日常的に音楽聴いてて新曲探したりをしているレアな人間ではあるので、それなりに自分が得たものを代わりに誰かに伝えたい、みたいな気持ちは最近強くなってるかも。
自分がどうこうというよりも読み手にとってノイズになると考えているから、個人的な話や自分の属性めいたものはブログにあまり書きたくないんだけど、30代でフラフラ音楽聴き歩いている人間というのは世間的には少数派みたいなんで、日々簡単じゃないなあと思う瞬間はあれど、来年も色々自分が見聞きしたものを周りに配布していきたいなあという気持ち。あまり締まらない話ですが来年もよろしくお願いします。
それじゃ、幕張(CDJ)行ってくるね!!
By たにみやん • Music •