4月 13 2016
総括されるJ-POPとそのターニングポイントたる「1998年」
書こうと思いながらずっと暖めておいた話。個人的に色々とバタバタしてたので久々の更新です。
この1月~2月に亀田音楽専門学校のSEASON3が放送された。今回のテーマはJ-POPの歴史っていうことでJ-POPという言葉が誕生した1980年代末から今に至るまでのJ-POPの歴史を4回に分けて解説している。それを受けて書かれた記事に内容が割と載ってるので参照して頂ければと思うんだけど(他力本願)、それと時期を同じくして、1冊の本が話題になっていた。宇野維正さんの「1998年の宇多田ヒカル」だ。
この本は宇多田ヒカル・椎名林檎・aiko・浜崎あゆみといった1998年デビュー組の女性ソロシンガーの歩みや音楽性を深掘りし、またその相互の関係性なども考察している。率直に言うとめちゃくちゃ面白かった。特に宇多田ヒカルの音作り(特にコーラスワーク)と全米デビューがなぜうまくいかなかったかという話は音楽的にかなり興味深い話だった。そしてこの本は取り扱っている対象のキャッチーさ、そして本のタイトルにもなっている宇多田ヒカルの音楽活動再開のニュースが発売後程なくして流れたこともあり、「普段音楽を聴かない人」にもずいぶん届いているように見受けられた。どちらかというとクロニクル的な書籍であり、(勿論現代のJ-POPにも触れてはいるのだけど)成熟期のJ-POPの総括という色彩が強い。こういう風にJ-POPを「総括」する流れみたいな動きが並行して出てきているのは偶然ではなく、そういう時期に入ったのかな、と言うところがある。なぜそう考えるのか。昨年出版された佐々木敦さんの「ニッポンの音楽」のある一説が思い浮かんだからだ。
筆者は「Jポップ」なるものが、60年代末に胚胎され、二十年の歳月を経て、80年代末に「言葉=概念」として誕生し、いつのまにか世の中にあまねく行き渡って、ほとんどこの国の音楽そのものを覆い尽くしたあげくに、そこからまた二十年を経たゼロ年代の末ごろに、一応の役割を終えた、と考えているのです。
要はJ-POPの歴史は一区切りしていて総括のタイミングにあり、それゆえそういう言説が幾つか出てきている、という話。なので僕も乗ってしまおう。という便乗感あふれるエントリ。因みに「ニッポンの音楽」でははっぴぃえんどが出てきた1969年から始まっているのでそこは省きつつ、多少補助線を書いていきたい。というわけで、「ニッポンの音楽」「亀田音楽専門学校」でそれぞれ説明されていた時期区分に加え、僕が考えるキーワードも並記してチャートみたいな感じにしたのが下の図である。
今回言いたいのは二つある。「J-POPの歴史は1998年を境にプロデューサー主導の時代とセルフプロデュースの時代に大分される」ということと、「音楽の視聴形態が転換する時期に、時代横断的な音楽のムーブメントが発生する」ということ。
前者の方から述べていきたい。これはいわば「J-POP産業化の道のり」だ。亀音で説明されてたし「ニッポンの音楽」でも説明されているけど、J-POPという名前が誕生したのはJ-WAVE開局の1988~1989年あたりで、そこから1993年くらいまでのに定着していく。そして、みんなが知ってる1998年くらいまでCDの売上は景気どこ吹く風で右肩上がりになっていくわけだが、その中心にいたミュージシャンの多くはプロデューサー月盟神探湯になっていた、というのが特徴。小室哲哉・小林武史・等は言うには及ばないが、ビーイングもそうだし(B’zの2人が初レコーディングまで顔合わせがなかったなどは有名な話)、ドリカムも、中村正人が「吉田美和で一儲けしようとおもってけっせいした」と半ば冗談ながら言っているが、スタンスとしてはプロデューサー主導に近い。そして、この時期のそういった流れの中に位置付けられるのがテレビ番組(特にバラエティ番組)内の企画ユニット。ポケットビスケッツやブラックビスケッツにエキセントリック少年ボウイや野猿など、これもある種の「プロデューサー主導案件」と言えるのではないか。
それに対して、1998年にデビューした歌姫3組が導いたのは「セルフプロデュースの時代」だ。もちろんシンガーソングライターはそれまでもいたし、その中には編曲なども含めて一気通貫でやってきた人もいた。しかし、曲の方向性などを特定のプロデューサーに頼ることなく自分たちの方法論で作り上げて大プロデューサーの作品に比肩するヒットをデビュー後早い段階で作り出した、という点で彼女達は一つの時代の移り変わりを導いたのだ。この本に浜崎あゆみやMISIAの名が挙げられてないことを訝しがる意見が散見されたけど、こういった時代の移り変わりという観点からすると適切だったのではないだろうか。そしてこの1998年以降は彼女達や97の世代(NUMBER GIRL・くるり・SUPERCAR・中村一義など)やそれに続くバンド達、平井堅等が引っ張っていったいわば「セルフプロデュースの時代」だと考える。そこで前面に出ていたのがR&B・ヒッポホップのような「ブラックミュージック」だ。もちろんドリカムやSMAPのような先達があったにせよ、見た目や立ち居振る舞いまでダイレクトにブラックテイストが染み込んでいるミュージシャンが表に出てきたのはこの時期ではないだろうか。
そして今は、プロデューサー主導型とセルフプロデュースとがミックス状態になっているJPOPの成熟期といえるだろう。おそらく2007年あたりからそんな時期なんじゃないかな、と考えているんだけど、この時代の特徴はなんだろうと考えると真っ先に出てくるのが「インターネット」だ。YouTubeやニコニコ動画が多くのインターネットユーザーに定着したのはゼロ年代後半位。それゆえに「動画サイトユーザーに飽きられないように15秒でつかむインパクト重視てんこ盛り音楽」も「古今東西のポップスの旨味をうまく抽出した懐かしさと新規性を両立したポップス」も出てきた。ソロもプロデューサー主導もブラックテイストもエレクトロも王道ポップスも色々出てきてどれが、というよりどれも、みたいになっているのがここ数年なんじゃないかな、と。そんな複雑化した時代だから、フィジカル面で訴えかけ躍らせ駆動させるような音楽(あえてここでは詳細を述べないけど)が台頭しようとしてきてるのでは、という感じ。
因みに「1998年の宇多田ヒカル」では「渋谷系は過大評価されている」という主張が述べられていた。その正誤をここで判断することはしないが、別の観点から勝手に補助線を引きたい。何かというと、渋谷系は音楽メディアの過渡期における自然発生的な現象だということと、その観点からしていわゆる「2010年代型のシティポップ」と「渋谷系」はかなり相似の現象ではないかということだ。
一つ目の話。若杉実さんの「渋谷系」では渋谷系とはDJ文化だという趣旨でそれを生み出した渋谷のレコードや文化の成り立ちと移り変わり、それが生み出した熱狂について克明に記録していた。
ここで描かれている1990年前後という時代は、レコードからCDへの移行がほぼ終わろうとしていた時期だ。この時期はレコードがメディアとして飽和していたということ、それからCD化に伴う再発盤リリースで過去音源が掘り返されたこと・(そしてほぼ触れられていないがレンタルレコード事業の勃興)からなる「旧譜が豊潤な時代」だった。それゆえ、それらの旧譜を聴くことで様々な着想を得たミュージシャンが同時発生した、というのが(若干乱暴ながら)渋谷系ムーブメントの発祥のテクニカルな側面だと考えられる。そして現代はいろいろな音楽が(非公式な物も含め)YouTubeに上がっているし、配信サイトでも結構色々手に入るし、何ならレンタルでもOKだしTSUTAYAで借りるもよしブックオフで叩き売られているのを買うもよし、という形で旧譜へのアクセスがしやすい時代になっている。状況は1990年前後とかなり近い。そう考えると「渋谷系」も「2010年代型シティポップ」もそういったメディアの移り変わりによる旧譜が豊潤な時代に自然発生する一つの「時代横断的音楽のムーブメント」と言えるのではないだろうか。ceroがSMAP×SMAPに出演したときの稲垣吾郎による「渋谷系みたい」というコメントは、そういう相似形であることを肌感覚で表している良いコメントだった。
日本の音楽業界には色々末法思想的な物が広がっている感じがするけど、こういう風に総括するような話が沢山出てきた時期だから、そこから何か考えてみることは良いことなのでは、と思ったりします。賢者は歴史に学ぶ的な。こんな感じで久々に色々書いてたら書きたいことが出てきたんで次も間を空けずに更新していきたい所存。
4月 21 2016
BABYMETAL「METAL RESISTANCE」はどういうアルバムなのか
BABYMETALの新しいアルバム「METAL RESISTANCE」、びっくりするくらいに売れている。
日本では3代目J Soul Brothersのニューアルバムと同時発売だったため順位は2位だったが、1週間で前作の累計売上を上回る13.7万枚の売上をたたき出し、2週目も2万枚3週目1万枚でもしかしたら20万枚行くんじゃないの、ってペース。さらには日本だけにとどまらず米ビルボードで39位(日本人のベスト40入りは坂本九以来53年ぶり)、英オフィシャル・チャートでは15位など、各国で高順位につけている。南米や北欧などのメタルが盛んだけどプロモ足りてない地域ではそれほどでもないけど、それにしてもすごいセールスであることは間違いない
このアルバムのインパクトについては(かなり大風呂敷広げた記事だけど)柴那典さんが書いているし、全世界同時発売日の翌日に行われたウェンブリーのライブについても行った方が空気感の伝わる参加記をしたためてくれている。そしたら僕はアルバム自体についてまるっと書いてみますか、という結論に至った。なので書く。
まず全曲簡単に総ざらいして、そのあと全体の方向性とかを読みたい。
●ド・キ・ド・キ☆全曲解説
これでは前のアルバムではないかというのはその通りだと思います。MVと参考動画でYouTubeを貼りまくったために重くなっちゃってごめんなさい。
1:Road of Resistance
この曲については前に解説記事を書いてるから詳しくはそっちを参照してちょ。初出は2014年の1stワールドツアー追加公演ファイナルにあたるロンドン公演。ドラゴンフォースのサム・トットマンとハーマン・リが参加しているバリバリのパワーメタル。シングアロングで盛り上がるんだけど、背中を押してくれるかのような力強さを持つメロディがシンプルに好き。いい曲だと思います。
2:KARATE
MV作られてるのでこの曲が多分リードトラックその1。初出は2015年のJAPAN TOURファイナルの横浜アリーナ公演。ゆよゆっぺによる、彼が前作で手がけた「悪魔の輪舞曲」みたいなメシュガーっぽいジェントにソイルワークみたいなメロデス風味を足し合わせた重厚な曲。MIKIKOMETALによるMVの振り付けは、同時期に出たPerfume「FLASH」のそれと好対照になっていて面白い。
3:あわだまフィーバー
「ギミチョコ!!」を作曲した上田剛士による、MAD CAPSUKE MARKETSを彷彿とさせるインダストリアルメタルチューンその2。初出は2014年の12月に開催されたファン限定イベント「APOCHRYPHA−S」。「ギミチョコ!!」と同じで、歌詞にほとんど内容はない(笑)。それからBPMが220から180に落ちてるがその分ドラムの音数が増えているのでそんなに遅くなったようには聞こえない。
4:ヤバッ!
「KARATE」同様ゆよゆっぺ編曲によるエレクトロニコア/ピコリーモ(メタル・ハードコア+エレクトロチューン。例:Fear, and Loathing in Las Vegas、Crossfaith)チューン。スカのリズムが入っているのはメタルとしては珍しいかもな、と感じるところ。初出は2015年6月の2ndワールドツアーファイナルの「巨大天下一メタル武道会」で、その後ファンクラブ限定ライブにあたって行われた楽曲リクエスト投票時には「違う」というタイトルだったので、長らくそっちの方で呼ばれていた。なんだかんだで未だにレコーディング音源の半数以上が打ち込みで作られているベビメタの曲だが、その中でも一番打ち込み要素が高いと感じられる曲。
5:Amore – 蒼星 –
扱いとしてはSU-METALのソロ楽曲(YUIMETALとMOAMETALの声が入っていない)。「イジメ・ダメ・ゼッタイ」や「紅月 – アカツキ -」のアレンジをしていた教頭による、それこそ「Road Of Resistance」以上にDragonforceっぽいド直球のパワーメタル。いたるところにDragonforceっぽい早弾きやピロピロギターが出てくる。タイトルから察しがつくと思うけど「紅月」と対になるような曲。歌詞もそんな感じで、紅月同様ベビメタにしては珍しいラブソング。
6:META!メタ太郎
タイトルから「いったいどんな曲なのだろう…」と思われてたこの曲、蓋を開けてみたらヴァイキングメタルだった。ヴァイキングメタルというと僕はコルピクラーニばかり思いついてしまうんだけど、そこまでフォーキー(民謡風)でもないなあ。因みに、日経エンタテインメントのインタビュー記事によると、男声バックコーラス(と言っていいのか)は実際にスカンジナビアのヴァイキングの人たちに歌ってもらったとのこと。SU-METALの今作のお気に入りソングだとか。曰く「BABYMETAL史上最もかわいい曲じゃないですか(笑)?」と。お、おう……
ただやっぱヴァイキングといえばこれだよな〜〜あんまり近くないけど(貼りたいだけ)
7:シンコペーション
7曲目は国内盤と海外盤で全く違う曲が収録されており、こちらは国内盤限定収録の曲。シンコペーションとは何かということについては前に書いた記事を読んでください。次の小節から音を先取りすることで結果的に前のめり感を出す効果があるわけだけど、そのシンコペーションをメロディに多用しつつ歌詞もその「前のめりな心情」を出したものになっているという、ダブルミーニング的な楽曲。楽曲については実は一番メタルっぽさが薄いというか、V系メタルとかジャパメタとかそういう感じで、わりかし普通のJ-POPっぽいなあって感じの曲。いたるところに入っているシンセはcoldrainとかCrossfaithあたりにありそうな感じ。
7:From Dusk Till Dawn
海外盤で「シンコペーション」の代わりに収録されている、全編英語詞の曲。ディスクユニオンとかHMVで普通に輸入盤売ってるからそれ買えば聴けるわけですが。ちなみにタイトルは某映画からそのまま持ってきているという…笑。楽曲の分類としてはゴシックメタルという感じで、エヴァネッセンスとか辺りが近いかも。
実際の曲はこれの10倍くらい緩急がついた感じです。
8:GJ!!
YUIMETALとMOAMETALの「BLACK BABYMETAL」の楽曲。前作収録の「4の歌」を彷彿とさせる三三七拍子からのスタートだが、中身は「おねだり大作戦」を彷彿とさせるラップメタル。今回もやっぱりリンプ・ビズキットっぽいですねwwちなみにこの曲は実質ファンクラブである「THE ONE」のメンバー限定盤では歌詞が全く違う「GJ!-ご褒美編-」というバージョンが収録されている。
9:Sis. Anger
こちらもBLACK BABYMETALの楽曲。というかタイトルだけでわかる人にはわかるんだけど、タイトルはメタリカの「St. Anger」をもじったものだ。
実際の曲調は高速にした「St. Anger」って感じ。最近のメタリカが重厚感を増している代わりにテンポの遅い曲が増えてるのを「こうしてほしい!」ってKOBAMETAL(プロデューサー)が言っているようにも感じた。最初のサビの後に「きらいだ!」連呼が「気合だ!」連呼に変化して「バカヤロ〜」ってなるのは本当に最高だ。冗談の温度感が変わってないと、なんか安心する。
10:NO RAIN, NO RAINBOW
今回収録されている楽曲群の中では最も古くから存在していた曲で、初出は2013年のNHKホール公演「LEGEND “1999” YUIMETAL&MOAMETAL聖誕祭」。呪いにより蝋人形にされてしまったYUIMETALとMOAMETALを救うためにSU-METALが歌った曲というのが公式設定。なぜかファーストアルバムには収録されず、その直後の武道館公演で演奏されたけど、その後も見かける機会はなかったところで復活。武道館のライブが映像パッケージ化された時に初めて曲名がわかったのだが、それまではサビの歌詞から「止まない雨」と呼ばれていた。そう、Xの「Endless Rain」である。
11:Tales of The Destinies
タイトルが運命のRPGなのは色々大丈夫なのか。複数形だからいいのか。それはさておき、変拍子・テンポ変化などめまぐるしく色々変わっていく、ライブでやるのがめちゃくちゃ大変そうなプログレッシブメタルチューン。というかもろにドリームシアターっぽい曲である。笑
この後次の曲に間髪入れずに突入していくので、2曲繋がっているように聞こえるが、それもそのはずで元々一つの組曲みたいにしようと制作していたとのことである(なので作詞作曲アレンジ演奏、全て同じメンバーでやっている)。
12:THE ONE
アルバムのグランドフィナーレを飾る壮大なメタルバラード曲。初出は「KARATE」同様に2015年のJAPAN TOURファイナルの横浜アリーナ公演。MVもそのときの映像がベースになっている。
タイトルは勿論メタリカの「ONE」から取っている。ただタイトルとして拝借した程度の印象が強く、実際には大団円の締めのために練り込んで作った曲、という感じ。これも「Road of Resistance」と作曲者が同じなのでメロディが良い。Mish-Mosh氏、何者なんだろう…と思って調べたら出てきた。二人組のユニットなんですね。
因みにこの曲には3つのバージョンが存在する。国内盤の通常バージョン、海外盤の「English Ver.(英語バージョン)」、ファンクラブTHE ONE限定盤の「Unfinished Ver.(ピアノ+ストリングスアレンジ)」だ。先日NHKで放送されたドキュメンタリー「BABYMETAL 少女達は世界と戦う」では、Unfinished Ver.が披露された。
因みに今作では一部楽曲において楽器もスタジオ録音されている。特にドラムが生録されてる曲が3つあるというのは相当な進歩だろう。因みにライナーノーツにはその辺何も書いていないので、参加ミュージシャンの自己申告しか当てにならない。Dragonforceの二人以外だと、神バンドのメンバーでもあるLedaさんとゴールデンボンバーの楽曲もアレンジしているtatsuoさんの2名が参加曲をツイートしている。
●アルバムの狙いを勝手に読み解く
先に全体的な感想を書くと、「今までの流れを維持しつつスキル・会場のスケールアップに伴って曲を作った、世界に向けたアルバム」というものだ。
このアルバムで核になっていると考えられる曲は、「Road of Resistance」と「THE ONE」の2曲だ。この2曲のMVはどちらも、日本国内で行われた大会場ライブの映像を使っている。「Road of Resistance」のシンガロング(合唱)の部分なんかは特にそうなんだけど、とにかく大会場で映えることを念頭に置いて作られている曲だという印象を受けた。率直に言うと今ツアーのスタート会場であるウェンブリー・アリーナとファイナル会場である東京ドームを相当に意識して作っていると言える。逆に、それ以外の曲についてはそこまでやることが変わっているわけではない、という感じ。新たにやったヴァイキングやゴシックも、前作の「メギツネ」とかの飛び道具的な曲の位置付けかな、という印象。例えばGJもおねだり大作戦のアップデートっぽいし。なので、今までの流れを維持しつつ会場規模に合わせた、という話になる。あとはバラードが入っているので前作より緩急ついてて聴きやすく感じる人も多いような気がする。
じゃあ何が世界に向けた要素なのか。それは海外盤の内容、というより海外盤限定で収録されている全英語詩の2曲。聴いて感じたのは英語の発音を相当トレーニングしたんじゃないか、ということ。非公式なのでいつ消えるかわからないけど↓をご覧くだされ。
https://www.youtube.com/watch?v=S3Q6iJE15-w
最近だとワンオクやセカオワなんかが歌唱時の英語の発音を鍛えてネイティブから聞いても不自然さをあまり感じないようにしているって話が聞かれる(セカオワについてはリアルサウンドで柴さんが指摘してる)けど、ベビメタもそうしているんだろうな、と。そして今指摘した3組の共通項はアミューズ(もしくはその関連会社)所属であるということ。もちろん他にも英語を鍛えて世界に繰り出しているバンドはあるんだけど、アミューズは会社として狙ってるんだな、という感じ。(なのでPerfumeも今作で1つくらい英詞曲出すかなと思ったけどなかった。)なので、全体の構成とか英語詞曲のクオリティとかを考えると海外盤の方がPRIMERY VERSION、つまり表バージョンなのではないかな、というのが率直な感想。まあ自分が「From Dusk〜」好きなだけかもしれないけど。
そして4月20日〜21日に行われたファンクラブ限定イベント「APOCRYPHA – Only The FOX GOD Knows –」に行ってきた。国内では初演奏となるアルバム新曲も何曲か演奏されたが、ウェンブリーの時も含め、まだやっていない曲が数曲ある。おそらくダンスの振り付けがまだできていない(Tales〜に関しては練習も終わってない?w)ということだろうけど、既に発表された曲達も同様にインテンシティの高いパフォーマンスだった(それから「THE ONE」がEnglish Versionだった!!)ので、未発表の曲を見るのが楽しみ。そして今月のライブで初披露された曲達もツアーで練度が高くなっていくだろう。東京ドームまであと5ヶ月、当面見る予定はないけど期待して待ちたい。
いろいろ書いてきたけど、ベビメタに関して思っているのは突き詰めると一言に集約される。
行けるところまで行ってくれ!!!
By たにみやん • BABYMETAL, Music • • Tags: BABYMETAL