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    1月 3 2017

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    すっかり書くの忘れてて申し訳ないんですが、本ブログのURLがTwitterでスパムと判断されるようになり、色々やってもにっちもさっちも行かなかったので、移転することにしました。

    新アドレスはこちら。はてなブログです。ちなみにこのブログのタイトルをクリックすると新ブログに行くようにできてます。

    http://tanimiyan.hatenablog.jp/

    こっちで昨年のベスト10とか色々書いてますので、どうぞよろしく。

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    By たにみやん • Music •

    7月 5 2016

    「好きな曲が1曲だけのCDアルバムをタダであげます」と言われたらどう答えるか

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    昨日TWEEDEESの沖井礼二さんが、奈良のレコードショップであるジャンゴレコードの店主のツイートを取り上げてこんな疑問を発していた。

    若い方のご意見のひとつとして参考までに伺ってもいいですか?と承諾を得てから
    極端な質問をしてみた。「このCDを差し上げます」と言ったらどうでしょう?と。
    すると、1曲だけのためなら無料でもいらないかもしれません。ミニマリスト的な意識なのかもしれませんが、中年の僕には驚きでした。

    — ジャンゴレコード (@djangorecords) July 4, 2016

    驚きを禁じ得ません。若いみなさん、本当にそうなんでしょうか?
    https://t.co/b15cslakrU

    — 沖井 礼二(TWEEDEES) (@okiireiji) July 4, 2016

    実は引用した上記ツイートには下記の通り前段がある。

    珍しく二十歳くらいの若いカップルが2組ご来店。やはり売上にはならず。今日は大盛況の日曜日ではあるけれど、再び祈るしかない雰囲気が濃厚か。

    — ジャンゴレコード (@djangorecords) July 3, 2016

    400円のアルバムCDで若いカップルと押し問答みたいな雰囲気になったのが、ちょっぴり悲しかった。作品は天下のロックバンドOASISのアルバム。「欲しいのはこの中の1曲だけだからなあ」という牙城を400円という低価格をもってしても崩すことができなかった…..。

    — ジャンゴレコード (@djangorecords) July 3, 2016

    おじいさんの一件よりも400円のOASISの購入をためらった若者の方が遥かにショックです。それは決して400円が惜しいという感じではなくて「1曲が欲しいだけなのにアルバムを買うのはちょっと抵抗があるかなぁ….」と言われたからです。モノを増やしたくないという感覚なのかな?

    — ジャンゴレコード (@djangorecords) July 3, 2016

    それがあまり読まれていなかったからか、沖井さんに来たリプライ自体は「CDがいい、配信がいい」「今時音楽は無料」的な繰り返されてきたテンプレトークが殆どだったのだけど、この問い自体は結構面白いんじゃないかと思って少し考えてみることにした。「好きな曲が1曲だけのCDアルバムをタダであげます」と言われたときに、どう答えるか。

    僕の回答はおそらくこうだ。「1枚目はたぶん喜んで受け取る。ただ何枚ももらえると言われると却って躊躇してしまう」。それはなぜか、という個人的な意見から色々迷走しながら話を膨らませていきたい。

    なぜ最初はいいのか。多分あまり考えてないということもあるけど、CDが増えていくと取扱に困る、というのはある。ジャンゴの店主がミニマリスト的、と述べてたけど実際この辺は多くの音楽好きには由々しき問題で、僕自身引越しの時にCDをケースから分解してKOKUYOのMEDIA PASSというソフトケースに入れて体積を1/3くらいまで減らしたくらいだ。(全てのCDをインポートしている訳ではないのでとりあえず残した)

    もう一つは、1曲のために入手したCDはその曲以外あまり聴かないだろうなあという予感があることだ。僕の家にはフリーサンプラーでもらったCDが十数枚(いやもうちょいあるかな)あるが、それらの中には一度も聴いていないものも相当数ある。なので最近はサンプラー受け取るのも躊躇しがちだ。なんでかというと他に聞きたいものがたくさん出てきてしまうからだ。この「音楽好き(なんでカッコ付きなのかは後でわかる)」特有の「聞きたいものが湧き出てしまう」現象は本当に厄介。旧譜も含めると聴ける音楽の量は増え続けていて、さらに大抵のものが古びない(これはあらゆる芸術・エンタみに言えそうだけど音楽は特にそうな気がする)ので、終わらない旅をずっと続けられる。なので好きな曲がただ1曲だけ入ったCD貰うなら他の聴かないし配信で1曲買いますよ、となるなあとこの話を眺めながら感じた(それはそれでレジーさんがよく言ってる「手癖で音楽聴く」みたいな話になってしまうのでよくないなあというのはわかっているのだけど)。とか言いながら同じCDを何枚も買う行為自体も引き続きやってるのであまり説得力がないかも。笑

    そんなことを考えていたわけだけど、この理屈だとこの答えに「1曲だけのためにCDを買うのは…」と思ってしまうのはむしろ音楽好きな人の側なのではないかな、という気もしてくる。数多くの曲を聴く習慣がない人にタダでCDをあげること自体は割とアリなのかもしれない。僕は「最近音楽好きの人が減った」的な言説はあまり信じていない。今の新しい音楽に興味を持つ人(これだけ捉えて「音楽好き」と呼称するのもなんか変な話だ)は減ったけど好きな曲や歌が全くないという人はそんなにいないと思っているので、その人が新しい音楽に会うきっかけになればタダであげるのも悪いことではないのではという気もする(個人的な体験で恐縮だけど、複数枚買ったCDを周りにいる新曲とかあまり興味ない人に渡しても割とすんなり受け取ってくれる)。

     

    とりとめもなく考察と言えるのか微妙な考えを巡らせていたけど、この質問は結構面白いなあと思った。その人の音楽に対する姿勢が垣間見える質問な気がする(当然だけど、どんな答えが出てきても悪いことは全くない)。さて、「好きな曲が1曲だけのCDアルバムをタダであげます」と言われたら、あなたはどう答えますか?

     

    あ、それから沖井礼二さんと清浦夏実さんのバンドTWEEDEESのニューアルバム、先行曲がよくて期待できるのでお楽しみにだね!!

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    By たにみやん • Music •

    6月 1 2016

    武藤彩未さんの発表を見て現代に生きるソロアイドルの大変さを改めて思う

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    昨日5月31日、アミューズのWebサイトにて、活動休止中だった武藤彩未さんが同社とのアーティスト契約を解除したことが唐突に発表され、それを受けて本人からツイッターでコメントがあった。

    「本人との話し合いの結果、「長期での海外留学を行い、様々な世界を見て勉強する時間を作りたい」という意向を受け、本日、2016年5月31日をもちまして弊社とのアーティスト契約を終了することに致しました」 / “武藤 彩未 – アミ…” https://t.co/90PAErhEUh

    — たにみやん (@tanimiyan) May 31, 2016

    https://twitter.com/_mutoayami_/status/737590569145229312

    私は今日本を離れ、海外に来てきます!ホームステイ先のファミリーがとても温かい人達で、すぐにこっちの環境にも慣れる事が出来ました!
    英語を学ぶ事を中心に過ごしていましたが、時間が経つに連れて色々な事にトライしたいという気持ちが出始めました。
    もちろん、歌いたい!という事も

    — 武藤彩未 (@_mutoayami_) May 31, 2016

    過去をリセットして自分自身を見つめ直すことが、日本を離れて、迅速かつ!はっきりと!現れて来ました!
    今、自分自身、強い意思を持って過ごせていますのでご安心ください!
    ボイストレーニングも受けています!海外の音楽にもたくさん触れる事が出来て、毎日が新鮮です✨

    — 武藤彩未 (@_mutoayami_) May 31, 2016

    帰国した後、「武藤彩未」をどう表現したら良いのか?
    果たして、皆さんに受け入れていただけるのか?
    不安がないと言ったら嘘になります。
    そんな時、気がついたら公園に行って歌を歌っている自分がいます(笑)
    こんな自分を見つけたかったのかも知れないです!!

    — 武藤彩未 (@_mutoayami_) May 31, 2016

    本当に前向きな自分で一歩ずつ進んでいます!!
    辛抱強く応援して下さっているの皆さんが納得していただける「武藤彩未
    」に成長して必ず日本に戻ります!
    本当に、いつもご声援ありがとうございます!
    この先も温かく見守っていただけたら嬉しいです!!!

    — 武藤彩未 (@_mutoayami_) May 31, 2016

    https://twitter.com/_mutoayami_/status/737600918141575171

    これを読んで僕が考えている楽観的な仮説を以下に記す。

    • 「アーティスト契約」は終了したけどアミューズがまだマネジメントしている可能性は高い
      今年3月末に卒業して即芸能界引退になったさくら学院卒業生がアミューズのサイトでは「契約終了」と記載されていたことと比べると違いがある。武藤彩未の所属レコード会社はアミューズとA-Sketch(ここもアミューズの子会社なんだけど)の共同設立レーベルであるSHINKAIなので、要は事務所直系。わざわざご丁寧に「留学後の活動は未定」とまで書いてあることやTwitterのアカウントはこれからも残るっぽい(またツイートしますと言ってるし)。これまで契約がなくなったらアイドルのアカウントが消えるのを何度も目撃してきた身としては、「これはちょっと違う」という気になっている。多分留学が長期化するので「◯年で◯枚CDリリース」みたいな縛りから解放した、ということなのではないか。
    • 本人は歌手やる気。ただしアイドルとして、ではない・・・?
      書いてある通り本人はボイストレーニングを受けたりしててるしまだ歌手としてやっていく意思を示している。しかし、自分をどう表現したらいいのかと言っているように迷いがあり、おそらく活動休止前と同様の形態は望むべくもない。歌唱力・表現力については抜群なので、正直事務所もどうしようかわからないのではないだろうか。そんな中我らがベースマスターがこんなことを言っていたので期待しとくw

    @_mutoayami_ 僕に手伝える事があったらいつでも言って下さい。作曲なら少しは出来ます。

    — 沖井 礼二(TWEEDEES) (@okiireiji) May 31, 2016

    そんでもって、彼女が活動休止を発表した時に感じた「ソロアイドルが現代で活動することの厳しさ」というものを改めて実感した次第。現代はアイドルブームだとか何だとか言われているけど、あくまで「グループアイドルの時代」であり、ソロで大成したアイドルは文脈の違うところから出てきたきゃりーぱみゅぱみゅを除けば皆無に等しい。どうしてだろう。数え上げたらきりがないくらい理由は出てくる。

    • 一人だからダンスが少ない。ゆえに見栄えしない。(きゃりーちゃんはキッズダンサーとかいっぱい入れてステージが簡素になるのを避けている)
    • 握手や何やでCDを売ろうとした時に、メンバー数が少なくて多くのお客をさばけない。
    • グループは誰か一人でもひっかかればOKだけど、ソロだと0か1かになってしまう。
    • 女性ソロ歌手と区別が曖昧

    4番目は深刻な問題ではないか。miwaや大原櫻子とソロアイドルはどう違うの??という疑問が出てきてしまう。

    「武藤彩未はアイドルで大原櫻子はアイドルではない」みたいなわりと哲学的な命題にぶち当たってしまうこと自体が「ソロアイドル」というものの難しさなのかなと思いました https://t.co/uytrUFMqdO

    — レジー (@regista13) December 17, 2015

    miwaは自分で曲を書いているからシンガーソングライターだよねって区別できるけど(それでも彼女たちSSWをアイドル的に見てる向きは多い。とか言ってると小金井の事件に当たってしまうので深くは語らない)、大原櫻子は自分で曲を書いていない(歌詞は一部共作している)。そういうあやふやな状況下で「私はアイドルです」って言い切っちゃうことでかえって自分の客層を狭めていないかな、ということを考えたりしてしまった。中田ヤスタカプロデュースで海外ウケしてティーンが好きそうなファッションをしているきゃりーぱみゅぱみゅみたいに引っかかりどころが沢山あるならまだしも、だ。前回「〇〇系」みたいな話して「アイドル」もそういう音楽性とは別レイヤーのカテゴライズだという話をしたけど、それゆえに、曲の感じで引っかかるかもしれないけど「アイドルだから」敬遠するという人は確実にいる。武藤さん自体の80’sアイドル路線が正しかったかどうかは述べない。個人的には素晴らしいステージングだと思っているのだけど。

    武藤さんにはまた歌って欲しいと思っている。因みに、アミューズには阪本奨悟という「一度抜けて数年して復帰した」タレントがいる。だから気を長くしてまっとけばいいかな、という楽観的な気持ちでいるのがよろしかろうと思うわけです。

    あと、ポニーキャニオンに3年間飼い殺しされた南波志帆さんもそうだけど色々と呪いになってしまうので「10代のうちに武道館」とか無理目の目標立てさせるのはやめよう(武藤さんについてはそれなりに練っていたのだろうけど)、ということを改めて思いつつ、特に結論はなく終わる。

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    By たにみやん • Music • • Tags: 武藤彩未

    5月 24 2016

    音楽における「○○系」はジャンルなのか、という話

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    ネットでは定期的に渋谷系について盛り上がることが多いけど、つい最近もこんな話があった。

    僕が1つめの記事にはてなブックマークでコメントしたことを起点として2つめの記事が書かれているので、なんとなく乗っかりたくなった。

    2つめの記事では渋谷系の源流となっている音楽として「ポストパンクとインディムーブメント」「モッズおよびそれを経由したソウルミュージック」「DJカルチャーとクラブミュージック」を挙げている。その結果渋谷系と一口にいっても多種多様な音楽がそこに含まれるしその中には共通性を見いだしにくい物も多い。もっとも記事中にて「ジャンルについて考えるときは代表的なバンドの共通点ではなく、全部を包含する物(集合でいう和)を考えた方が良い」という旨書いてあってそこはまあ頷けるところではあるんだけど、個人的な感覚からすると「渋谷系」に共通する物は音楽性ではなく創作姿勢なんじゃないか、という気がしている。この辺は僕が敬愛しているCymbals沖井礼二さんがテレビ出演して話した渋谷系講義の内容に影響を受けてる面が強いけど、若杉実さんの「渋谷系」でもDJカルチャーをベースとした温故知新のムーブメントっていうとらえ方をしているし、そんなもんなんじゃないかな、と。

    そこで思ったんだけど、「○○系」と言われる物って音楽的特徴でくくるのが難しいけどその一方で「ジャズ」とか「メタル」(これらも最近色々定義が拡張して揺らいでるけど)とかと同様に音楽を分けるジャンルとして使われるのって、なんか色々不具合を起こしてるんじゃないかという風に思った、というのが今回の趣旨です。

    ●幅広い「○○系」とカテゴリ音楽

    渋谷系と並んで(いやむしろそれ以上に)使われることの多い「○○系」と言えば「ヴィジュアル系」だ。ゴールデンボンバーが「†ザ・V系っぽい曲†」という曲を出しているが、確かにこの曲は「V系っぽさ」のある部分が端的に出ている。

    ヘヴィメタルっぽいリフとドラムにどちらかというとハードロックっぽいリードギター。この激しい感じがヴィジュアル系音楽の特徴として一番分かると思う。今だとthe Gazetteあたりがそんな感じか。しかしながら、これは割と純化したものでLUNA SEAなんかはハードコアパンクっぽい感じだしGLAYとかシドになってくると特徴とも言われる激しさみたいなものも控えめな感じになってくる(あくまでこのカテゴリーで、という話だけど)。あとはゴシックロック的なMALICE MIZERやら枚挙にいとまがない。2003年とちょっと昔に出版された「ヴィジュアルロックの時代」という本では、ヴィジュアル系バンドの音楽的特性について源流など含め分析しており、多くはヘヴィメタル・ハードロックと位置づけているがパンクやグラムロックなどからの影響も示唆している。

    というかそもそも「ヴィジュアル系」という名前からして、共通項は音楽性よりもその外見や立ち振る舞いの方にフォーカスされる方が多かったりする。音楽はその日現実感を増幅させるような使われ方をするので激しいものになるのではと考える。というかそういうもんでないと「V系っぽい」なんてタイトルの曲はネタだとしても成立しないよな、って感じはある。「アンビエントテクノっぽい曲」とか「シンフォニックブラックメタルっぽい曲」というタイトルの曲は出せるのだろうか。笑

    一方で、狭義のジャンルは細分化が進んでる。新しいものが出てくるとそれを言い表す言葉が必要になるということがずっと続いている。でも今全く新しいものが生まれるかというとそういうことはなく、基本的に今あるものからの分派みたいな感じだ方仕方ない。メタルなんか典型的で「ヘヴィメタル」のサブジャンルに「デスメタル」があり、そのサブジャンルとして「メロディックデスメタル(メロデス)」や「シンフォニックデスメタル」となったり…という風になっているし、テクノとかクラブミュージックも日々新しいジャンルが出来ている。そういった話に対して、「○○」系はむしろ言葉はそのままでそれが包括する対象がどんどん拡大している、というタイプのものなんだなあと日々感じるところである。

    ●日本において「○○系」とは何か

    こうして考えると「○○系」とは、音楽的特性ではなく、そのアティテュードや外部特性などによって規定される類の音楽なのではないか。そう考えると、そういう類の音楽が日本では他にも隆盛を誇っている。アイドル・アニソンといったものがそれに当たる。以前「アニソンやアイドルといった分類はジャンルではなくタグでは」という議論があったけど、それはその通りで、ジャンルより一段上のレイヤーというかカテゴリーというかそんな感じ。「渋谷系っぽいアニソン・声優ソング」とか「メタルアイドル」とか、組み合わせで語られることは多い。

    海外在住経験が無いので一概に日本ではこうだよみたいな事は言えないけど、マーティ・フリードマンなんかもよく言ってるとおり「ジャンル」に対する帰属意識みたいなのが薄いからこういうカテゴリーベースの音楽が色々出てきて面白くなっているんじゃないかな、と思うところ。混ぜたりするのに躊躇しないし、リスナー側も何でも聴いたりするから何やってもいい感じがある。あとはかな文字から何から、異文化を取り入れてアレンジして自分たちの物にしていく貪欲な国民性かな。ちょっと風呂敷広げすぎたかも。

    そうすると、いわゆる現代ジャズ(ジャズを起点に拡張された、クロスオーバーな音楽)のミュージシャンが日本でも一定の人気を持ち、それらのミュージシャンにフォーカスを当てたムックシリーズ「Jazz The New Chapter」が2016年春時点でシリーズ3まで出版されているということはそういった日本人リスナーの気質とマッチしたから、ということが言えるのではないだろうか。(この前提としてはこれらのミュージシャンが本国での認知度がめちゃくちゃ高いというわけではないという背景がある。ロバート・グラスパーやエスペランサ・スポルディングはグラミー賞を取ったけどその割にはSNSのフォロワーはたかだか十数万とか数十万だ。まあそれをもって有名とするかどうかに疑問の余地があるのは認めるけど。因みにエスペランサの方がバラク・オバマのノーベル賞受賞祝いのこともあってフォロワーやいいねの数は多い)これ自体まだ名称が定まっている訳ではなく「JTNC系」「今ジャズ」「リアルタイムジャズ」など様々な呼ばれ方をしている。これらは温故知新的かつクロスオーバー的な音楽性もさることながら、その包含範囲の広さも日本の音楽リスナーと相性が良かったのではないかな。

    そんなところでNHKの「ニッポン戦後サブカルチャー史」で渋谷系についてやるそうなので、これを見ながらまた色々考えようかなあという感じ。

    宮沢章夫、風間俊介らによるサブカル史番組の第3弾、テーマは90年代

    今日はこんなところで。ちなみに僕は渋谷系も現代ジャズも好きですw

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    By たにみやん • Music •

    5月 12 2016

    大手チケット販売サイトの手数料とかについて僕が考えていること

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    ぴあ・イープラス・ローチケの3大チケット販売会社は、音楽ファンからの評判がすこぶる悪いことでも有名である。いや、たぶん音楽だけじゃなくて取り扱っているエンタメ全般のファンに嫌われているといった方が正しいのかもしれないけど、とにかく嫌われている。僕もこれらの事業者のサービスに満足しているわけではないが(ここ重要)、なんか文句がいちゃもんに聞こえるときもあるので、自分なりに考えていることを整理してみたいなと思った。次のことについて書こうと思う。

    • 各種手数料
    • 土曜午前10時のサーバーダウン
    • その他

    繰り返しだけど、僕はこれらのサイトの回し者ではないしお金ももらってない(だからステマなどでは決してない)ということ。

    ●手数料は正当なものなのかという話

    とにかくまず挙がるのが「色々手数料を取っている」という話。ここで挙げた3社やイベンター(DISK GARAGE・ウドー等)の直営サイトなんかで行われる先行販売の際にはとにかく話題に上がる。先行販売に申し込むとチケット代以外に特別先行販売手数料500円+システム利用料250円+発券手数料108円で合計1000円近く加算よ、なんてことはざらだ。お財布の中身は有限なのでそりゃあ高いより安い方が良いよ、というのは心情的にはよくわかる。じゃあこれらの位置づけって何なんだろう、というのが最初のお題。まず、ぴあ・イープラス・ローチケそれぞれのサイトの説明を見ても、それが何かということは殆ど書いていない。なので、ここからは推測なのだがほぼ間違っていないと思う。手数料の内容・意味は下記の通りだろう。

    • 発券手数料:実際のチケット印刷や封詰め代+(店頭行けば)どこでもチケットを買える事への対価
    • 決済手数料:その名の通り。コンビニとかからチケット販売業者への送金とかの手数料
    • システム利用料:各種サイトに(文字通り)どこからでもアクセスしてチケットを予約できる事への対価
    • 先行販売手数料:一般販売よりも前にチケットを押さえられる権利への対価

    発券手数料。これを考える際には手売りされているチケットとの比較が一番わかりやすい。手売りされているチケットは、既に印刷もされているのでその場で手渡しされればすぐ使える物になる。しかし、みんなが興行者なり出演者から直接チケットを買うことは出来ないのでこういったチケット販売業者が出てくることになる。そうするとその場でチケット印刷をして手渡しすることになるのでそのための対価(材料+人件費)とそもそも店頭に行けば興業者から直接買える事への対価だろう。そしてシステム上で即完結するクレジットカード以外は出先と販売業社間の送金が発生するので手数料いりますよ、と。恨むなら金融機関を恨もうw

    とはいえ店頭に素早く行けるわけでもない事情というのは存在する(最近はコンビニが取り扱いしてくれるから良いものの、昔はチケット販売業者の出先でないと買えなかった)。なのでネットや電話を通じて押さえて後で店頭に行って発券したいというニーズが出てくる。その対価がシステム利用料だろう。電話でもネットでも同じ価格である場合が多いが、まあいちいち分けたりするの大変だろうな、という感じはする。

    ここまではあくまで一般販売されているチケットについての考察だが、最近は行きたい人が多く販売時に人が殺到するケースもたくさん存在する(実際は昔からそうだったんだけど)。そうするとシステム側でも捌けないし、そもそも発売日に即完売では公平に行き渡らないよねってことで最近増えているのが先行販売。この制度自体はそれこそインターネットでのチケット販売がなかった20年前位からあったけど、ファンクラブやぴあカード会員など「一定の対価を既に払っている人」向けの施策だったと記憶している(違ったらすみません)。なので、一般販売よりも前にチケットを確保できる権利への対価として先行販売手数料という物が出てくる、と考えられる。そして恐らく各社ここで稼いでいるのだろう。特に大物アーティストのツアーを丸ごと独占先行!みたいなのは販売業者の営業さんがアーティスト側に頑張って営業かけて獲得した案件、ということでしょう。今は先行で取るのが当たり前みたいになっているけどそもそもは一般販売がベース(この精度が良いかどうかはさておき)とすると、合理性はあるのではないか。

    余談だけど、この特別先行手数料の価格は概ねチケット代に比例しているようだ。そのため同じ公演で極端に価格差がある場合(ポール・マッカートニーの日本武道館公演など)には安いチケットの特別販売手数料が高いチケットの手数料に引きずられてチケット同額とかいう冗談みたいな状態になってしまう。それは何とかしてよ、と思ったり。(よくヤフオクなんかでダフ屋行為が問題になるとプレミアム高額チケットを出した方がいい、という議論が出るが現実にそうならないのは公平性の確保以外にこういう融通の利かないシステムに原因があるのかもしれない。)

    そういう風に考えると、ある程度手数料類も納得いくんだけど、正直に言って各チケット販売会社はここら辺についてもっと周知するべきだろう。通販(特にAmazon)の送料についてダンピングとか下請け締め付けとか話題になるけど、そういう心配をする人達もチケット販売の手数料については一様に文句を言っているというのが率直な印象だ。PR大事。

    ●土曜朝10時になるとサーバーが落ちる件について

    各種チケット販売サイトの一般販売開始が土曜日の朝10時なのはなんでかというと、やはりその時間帯が一番「人の活動が少ない」即ち店頭にチケットを買いに来られる人が多く、なおかつ電話や何やらが他の用途で使われてて邪魔になることが少ない時間帯であるということだろう。以前は日曜の朝10時、というのもあったような気がするけど、週休2日が普及してからは土曜日が主になったはず。それこそ20年前に、母親と弟が大宮ソニックシティでやるtrfのライブチケットを取りに駅の反対側にある西友にあったぴあだかチケットセゾン(今のイープラス)の店に朝から行ってたのを記憶している。ただ取り扱い点数が増えた上にインターネットでの販売も普及した今ではその時とは比較にならないくらいのリクエスト量が集中して電話は繋がらない(昔もだったけど)わネットではサーバーからエラーメッセージが出るわで購入メニューに行くのも一苦労、というわけだ。それゆえに先行販売をする公演が昔に比べて広がったという側面もあるんだけど、それにしても土曜朝10時は地獄の時間だ。

    IT業界の隅っこにいる人間からしたらクラウド化して負荷に応じてリソースを増やしたり減らしたりするElasticな形態にすればいいじゃん、と思ったりもするんだけど、そうも許さない事情があると考えられる。まず一つは価格比較をして多分クラウド化した方がまだ運用含めて高くつく、という計算になっているということ。もう一つはぴあが2008年にシステム入れ替えに失敗して各興行主に敬遠されて大赤字になり希望退職を募集するまで至ってしまったことの記憶が業界に残っており、業界全体として若干保守的なのではないかと見られること。あとは電話とかはどうにもならんじゃんとかあるけど。

    じゃあPeatixとかのスマホチケットはどうなのよみたいな話が出てくるけど、その昔ももクロのイベントを先着順で受付用としたらサーバーが落ちて半日復旧できなかった事案があったように、規模的な面を考えるとそれだけのリソースを用意できないという事情がある。そしてやっぱりそういう投資余力を手数料収入で確保してるんだろうなあというかんじ。スパイク(突発的な負荷上昇)への対策というのは、クラウドでやるにしても意外と面倒なものだし、普通のサーバーだと平常時との乖離が激しければ激しいほどどこに合わせてリソース設計するかという話になる。例えば土曜日午前のアクセス数が平常時の5倍だとしたら、それに合わせて設計すると1週間のうち160時間以上は8割もリソースの無駄が発生することになる。それは企業として取れる選択肢なのか。因みにぴあは上場企業なので決算書が公開されているから見てみる(PDF)と、いろいろとチケットサイト特有の特報が出ていて面白いです。「固定資産の中に占めるソフトウェアの金額比率の高さ」とか。

    ●結論のようなもの

    この記事で言いたいのは殆どが「手数料は別にそんなに不当な物ではない」なんだけど、事業者側も寡占事業になっていることにあぐらをかいてサービス品質の向上にあまり取り組んでなさそうなところや説明不足なところについては「それでいいの?もっと頑張れよ」という気持ちだ。実際ネットからの購入大変だし、ローチケとか個人情報入力させすぎ(Pontaをおサイフケータイ登録すると格段に楽になるけど)だし。因みに僕は新興勢力のスマホチケット系にはそんなに期待していない。先に挙げたシステム障害もさることながら、全国各地の公演をカバーしていくのはネットだけではしんどいんじゃないかなあと思っているところがあるからだ。

    それでも定価リセール(ぴあ)とか電子マネー対応(ローチケ)とか少しずつ良くはなっているので、まあもっと頑張れ、って感じ。まあ何事もそうだけどダメなところは参考にせず、良いところを見習わないとね。あまり締まらないけどまあそんなところです。

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    たにみやさん的な何かです。

    色々な事を書いていたけど今や音楽のことしか書かなくなったブログ。音源聞いたりライブに行って感じたことを色々つなげてまとめたりしながら、業界の動向も追ってレポートにしてます。

    8/19発売のMONOQLO10月号にて定額制音楽配信特集にコメントを寄せています。

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